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氷帝学園男子テニス部。
春の合宿。
「6―3。芥川」
崩れ落ちる先輩レギュラー。
「よくやった、芥川」
榊の一言。
その瞬間、芥川のレギュラー入りが決定した。
「…眠い」
ぽてっ、とソファーに横になる芥川。
「寝るならちゃんと布団で寝たら?風邪ひくよ」
新たなメンバー表をまとめていたマネージャーのが顔を上げる。
「ん〜…」
芥川はそのまま首だけ上げてを見た後再びソファーに頭を落とした。
「ほら、ちゃんと布団で寝なさいってばっ!」
はそう言いながら芥川の手を引っ張り、無理やり起こそうとする。
「…ここでいいよぉ〜」
そう言い放った芥川はソファーから移動する気はさらさらないようだ。
もぞもぞと身体を動かし寝心地がいいように体勢を変えている。
「んも〜〜心配してやってんのに〜。コラ、ジロー起きなさいってば」
「ん〜…」
ぐいっ。
「えっ!?」
腕を引っ張られる。
の目の前には芥川のふわふわと柔らかい髪。
は芥川の上へと倒れこんでいた。
「ちょ、ジ、ジロー!?」
慌てて身体を離そうとする。
「ん〜…祐ちゃんの心臓の音が聞こえるぅ〜」
の胸元に顔をうずめる芥川。
「な、そんなのいいから放してってば」
顔を真っ赤にして泣きそうな声を出す。
「ん〜…ヤダぁ〜」
芥川の腕に力がこもりの体はいっそう芥川の身体に密着する。
「ジロぉ〜…」
はそれ以上言葉を続けることができず、ただ口をパクパクさせる。
「こうしてると気持ちいいC〜」
「で、でも重いでしょ?寝にくいでしょ?」
焦って言葉を続ける。
「そんなことないよぉ〜…気持ち、E〜…っていうか、心地Eぃ〜…ってヤツ〜…?」
眠気に身を任せつつあるのか語尾が次第にとろん、としている。
は芥川の腕から逃れようとじたばたと暴れる。
芥川の腕にまた力が加わった。
「お願い、祐ちゃん…1人じゃ寝れないから」
芥川のの動きがぴたっと止まる。
「だから、ちょっとだけ…」
ジローはの服の後ろをきゅっと握る。
は芥川に視線を落とす。
に見えるのは芥川の綺麗な髪。
芥川がに密着して顔をうずめているため表情は見えない。
「ジロー?」
「…」
「子どもみたい」
「…子どもだもん」
「…」
「…」
は小さく息を吐き出すと、そっと芥川の髪を撫でた。
「ねぇ、ジロー。私は何があってもアンタこと見て、アンタのこと応援してるから。無理、しない程度に頑張んなよ…ね?」
そこまで言ってははっとして口をつむぐ。
『もしかして、私今ものすごいこと言った!?何!?この何が会ってもあなたを見てますとか応援してますとか乙女チックな台詞は!?』
かぁぁっとの顔が染まる。
ごまかすように芥川から顔を背ける。
「あ、あのさ、ジロー?それはあくまでマネージャーとしてって言うかさ、深い意味ないって言うか、ただたんにじローって放っておけないタイプって言うかさ、…って、あ〜もう、何、言ってるかな、私は」
半分声が裏返りつつチラッと芥川の方を見る。
「…」
「スー…スー…スー…スー…」
一定の呼吸音。
「…ジロー?」
「スー…スー…スー…スー…」
返事なし。
「…寝てる?」
の体から力が抜ける。
「スー…スー…スー…スー…」
はもう一度ジローを見てふっと笑みをこぼした。
「傍にいたげるからちゃんと充電して、明日からまた頑張ってね、ジロー」
は芥川の髪を1房とると人差し指でそれをくるくると回した。
カチャ。
小さな音。
の動きがぴたっと止まる。
「…何、やってんだ?お前ら」
後ろから声がかかる。
は
「あ、跡部!?」
跡部はに回されている芥川の腕に視線を向ける。
「愚問だったな…おい、一応合宿中なんだ。ほどほどにしとけよ」
「あ、跡部。これはただ、その。誤解だってばっ」
再び部屋を出て行こうとしている跡部にが叫ぶ。
跡部はドアから出て行く瞬間ふりかえり、にやっと笑った。
「もう1時間くらいこの部屋には誰も近づかねぇようにしといてやる。次からはちゃんと鍵しめてからにしろよ」
「跡部ぇ〜!?!?」
の叫びむなしく、パタン、と扉は閉じられた。
しばし、は呆然とドアを見つめ、ふるふると身体を震わせた。
「起きろっ馬鹿ジローっ!!」
バシッ。
は思いっきり芥川の頭をはたく。
「んぁ〜」
芥川の目がうっすらと開いた。
(Fin.)
反省文
初ジロー夢いかがだったでしょうか?
ジロー図太く繊細であること希望。
甘ったれでヘタレチックで何気に大胆であること希望。
と笹間の妄想のみで書き上げられました。
ビバッダメ人間です・笑。
読んでいただきありがとうございました。
感想などいただけると嬉しいです。
20040310
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