「よっ」
綺麗にライン上にボールが決まる。
「なかなか上達したじゃん」
「私なんかまだまだですよ」
布川に頭をくしゃくしゃと撫でられは嬉しそうに笑う。
あれ以来暇を見つけてここに通うようになって、大分彼ら以外とも打ち解けた。
一番年下であるは結構、周りの連中に可愛がってもらっている方である、と思う。
…それは女扱いはなく男扱いだけれど。
「ほれ」
「ありがとうございます」
泉が差し出したドリンクを受け取りはベンチに腰を下ろした。
ちらっと入り口に視線を向ける。
「どうした?」
声をかけられそちらに顔を向ける。
「ん〜…今日も杏ちゃん来ないのかな、と思って」
少し寂しそうに笑う。
「まぁ地区予選近いしな」
「それを言うなら泉さんたちもでしょ」
「「まぁな」」
そう言って3人笑みを交わす。
は再び入り口に寂しそうに視線を向ける。
「お前がいないときは時々来るんだけどなぁ〜」
泉はそう言って頭をかく。
「…らしいですね、私が部活でこれない時とか…。究極のすれ違いですよ」
はぁ〜っとは大きく息を吐き出した。
「お前、杏ちゃん贔屓だからなぁ…あっもしかして惚れてるのか?」
「惚れてるって今時そんな言い方…ってか私が惚れてるって…まぁ杏ちゃんのこと好きですけどね。それに杏ちゃんと私のほかにここ女の子いないんですもん」
だから、杏ちゃんいないと楽しさ100%にならないんです、とは言葉と続ける。
「「あぁ」」
ポンッと手を打つ布川&泉。
「あぁって、完璧私が女だってこと忘れてましたね…いいですけど」
ぷぅっと頬を膨らませ不機嫌そうに視線をそらす。
「わるい、悪気はないんだ」
「そうそう、ただ忘れちまうだけで…」
「…そっちのほうが、なお性質悪いじゃないですか」
苦笑いを浮かべ謝る布川と泉をは睨みつける。
「…そんなんだから布川さんも泉さんもっていつまでたっても彼女、できないんですよ」
ふぅっとわざとらしくため息をついてみせる。
「「余計なお世話だ」」
今度は布川と泉がそっぽを向く。
「だいだい、お前だって彼氏いないだろうが」
「私はまだ若いですから」
の顔にようやく笑みが戻った。
「大丈夫、布川さんも泉さんも見た目と違って優しいですからいつかきっと素敵な彼女ができますって…たぶん。そう、いつかはきっと…うん」
「そりゃどうも」
の悪戯っぽい物言いに泉は苦笑いを漏らした。
「…杏ちゃんと…神尾や伊武ともメールはしてるんだろ?」
布川が尋ねる。
「えぇ。でも、やっぱり練習忙しいみたいです。特に杏ちゃんは男子テニス部のマネージャーみたいのもやってるらしくて…」
ふぅっと息を吐き出す。
「ま、そのうちまた会えるさ」
肩を落とすの頭を泉はぽんぽんと撫でた。
20040303
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