「…剣太郎、離せ」

「ダビデこそ」



睨む合う2人。

ソレをお互い自分の方へぐいっとひっぱる。

ソレは力の加減によって左右へゆらりゆらりと揺れる。

椅子に座って両手は両側からがっちり固められている。



右には天根。

左には葵。

真ん中には疲れきった表情の



さんは、僕と校内新聞の部活紹介のコラムを書くんだから」

葵がの腕をぐいっと引っ張る。

天根も負けじとの腕を引っ張る。

「…俺の宿題の方が先(シュク)だい…ぷっ」

天根の苦しい駄洒落に双方の力がふっと抜け、の体は椅子に真っ直ぐになる。



「コレ明日までだし」

「…これも明日」

再び両方向に引っ張られる



「あ〜…いい加減離してくれないかなぁ」

ため息交じりのの声。

頭上で飛び散る火花。



「ね、2人とも」

「「ヤダ」」

睨み合ったままピタリと声をそろえる2人には大きくため息をつけた。



『こんなとき、バネさんだったら蹴り一発で納めてくれるのになぁ〜』

救世主を求めドアへと視線を向ける。





ガチャ。





部室の扉が開く。

ぱっとの顔が明るくなったが、ソレはすぐにそれはあからさまに曇る。

ドアを開けた人物、とその後ろにいた人物が固まる?



「なんだぁサエさんと樹ちゃんかぁ〜」

ため息をつく



「なんだぁってそれはないんじゃない?」

ほんの少し、整った顔を引きつらせ佐伯が部室に入ってくる。



「何、やってるの?」

その後ろから先ほど一瞬目を大きく見開いたけれど、すでにいつもの表情に戻っている樹が続く。



「新聞のコラムと宿題の手伝いさせようってもめてるのよ…私、今度の練習試合のことでオジイのところに行かなきゃいけないのに」

「ソレは…」

「災難」

2人は苦笑してそれぞれ鞄をロッカーへとしまう。



「「…」」

天根と葵は無言のまま腕をつかんでにらみ合ったまま。



「あ〜もう何でもいいからこの2人何とかしてよぉ〜…」

『腕痛いし、疲れた〜』と虚ろな目では2人に助けを求める。

2人は苦笑を返すのみ。



「…薄情者め〜」

大きくため息をつき項垂れる

そしてはっと顔を上げる。



「ダビデ、宿題って古文だったわよね?」

の言葉にコクンと頷く天根。

は何とか首をひねって樹と佐伯の方を振り返る。



「樹ちゃん国語得意だったでしょ、ダビデの宿題見てやって」



名指しされほんの少し目を大きく開く樹。

顔をしかめる天根。

ぱぁぁと表情を明るくする葵。

それらを面白そうに眺めている佐伯。



「サエさんは剣太郎とコラムね、副部長なんだししっかり職務はたしてもらうちょうだい」



さわやかな笑みを浮かべていた口元を引きつらせる佐伯。

泣きそうな顔をする葵。

小さく噴出す天根。

視線を情報にそらす樹。

強引に両腕を振りほどき、椅子から立ち上がる



「じゃ、私オジイのところに行ってくるから。戻るまでに片付けといてね」

一気にまくし立てるとは部室から飛び出していった。

後には…。



不機嫌そうに頭をかく天根。

崩れ落ちる葵。

苦笑を浮かべ顔を見合わせる佐伯と樹。



「じゃ、とっとと片付けようか」

佐伯は不機嫌そうな後輩2人の肩を軽く叩いた。










反省文

青学にしたくない…というだけで。
六角中話。

2004.02.25










■戻■