次々と窓ガラスに作られていく模様。



雨はキライ。

いや、正しく言うのなら、今日、たった今キライになった。



「くぅ〜ん」

悲しげに見上げてくるジョンの頭を撫でる。

ジョンもきっと雨が嫌いね。



「仕方ないでしょ。我慢しなさい」

そう言って は小さくため息をついた。

ジョンに言っているつもりなのに、何となく自分に対していっているような気分になる。

ジョンと同様…いや、おそらくそれ以上 は最近散歩が楽しみなのだから。



公園で偶然あった彼。

見かけるたびにお互い声をかけるようになって。

ようやく仲良くなれかかっているというのに。



は恨めしげに窓の外へと視線を移す。

この雨では散歩にはいけない。

彼もこんな中練習はしていないだろう。



会いたいなぁ…。

やまないかなぁ…。



灰色に染まった空を窓越しに見上げる。

雨はわざとらしく弱くなったり、強くなったり。



と、何やらカリカリという音が聞こえた。

は窓辺から身体を離し、音のした方へと向かう。



「ジョン」

音をたどっていくと玄関先で、外に出ようと扉をかいているジョンの姿があった。



「…くぅ〜ん」

に名前を呼ばれ、ドアから下がり切なげに を見上げるジョン。



「…」

は無言のままジョンの首元を撫でた。

顔を上に向け、 に擦り寄るジョン。



「…ジョン、行こうか、散歩」

小さな の呟きをジョンが聞き逃すはずがない。

パッと動いて自分でリードを持ってきた。

はふっと笑みをこぼすとジョンにレインコートを着せてリードにつけた。















いつも通り公園に入る。

いつも彼がボールを打っているそこに彼の姿は今日はなかった。



「…流石にこんな天気じゃいないよね」

小さく呟く

と、突然ジョンに引っ張られた。



「ちょ、ジョン!?」

はジョンに引きずられるように連れて行かれる。



「オンっ」

高くジャンプしてジョンは前を歩いていた人に飛びかかった。



「うぉっ!!」

当然前を歩いていた人は前につんのめる形になったが倒れないよう、何とか体勢を整えた。



「何すんだっ」

怒りに震えて後ろを振り向いたその人は、驚いたように目を見開いた。



「また、お前らかよ」

呆れたようにそう言うのは…



「宍戸君っ」

宍戸だった。

長い髪が傘に隠れていたため振り返るまで気付かなかったが。

その足元にはジョンが嬉しそうにじゃれ付いている。



「あっこら。つめてぇからやめろ」

濡れた足で触られ、宍戸はジョンから距離を置いた。



「何やってんだ?お前?」

宍戸は へと視線を移し尋ねる。



「…散歩」

ボソッと小さく呟く



「へーやっぱ大変なんだな犬って」

ふーんと感心する宍戸。



「…宍戸君は?」

恐る恐ると風に尋ねる



「俺?俺は…あ〜…俺も散歩」

「ふ〜ん…」

何やら歯切れの悪い宍戸が気になったが、とりあえず納得する

会話が途切れる2人。

お座りをしてパタパタと尻尾を振ってその様子を見守っているジョン。



「じゃ」

沈黙に耐え切れなくなった は、シュタッと手をあげてその場を去ろうとした。



「待てよ」

「?」

宍戸に呼び止められ振り返る



「…これから時間あるか?」

早口でそう に尋ねる宍戸。



「いや、別に」

がそう答えた瞬間、突然宍戸が がジョンのリードを持った方とは反対側の腕を掴んだ。



「じゃ、ちょっと付き合え」

ぐいっと引き寄せられそういわれる。



「ふぇ!?」

目の前に急に宍戸の顔がきて戸惑う



「だぁっ!!いいからついて来い」

強くそう言って、宍戸は の腕を掴んだまま歩き始めた。

雨はいつの間にか小降りになっていた。















「ここ、宍戸君の家?」

つれてこられたのは大きな家…もといお屋敷。



「ちげぇよ。ほら行くぞ」

の腕を持ったままずんずんとその家の敷地内に入っていく宍戸。



「えっ?えっ?え〜!?!?」

はわけが分からないまま引きずられていった。





ガチャ。





広い庭を抜けて外の体育館みたいな所の扉をなれた様子で開ける宍戸。



「遅いですよ宍戸さん…あれ?そちらにいるのは?」

中から出てきたのはとっても背の高い男の子。



「彼女ですか?」

「違ぇよっ!!知り合いだっ知り合いっ」

にっこりと尋ねる彼にキッパリと言い切る宍戸。



「そうなんですか…はじめまして。鳳です」

にっこりと笑う長身の彼。



「あっどーも…」

も自己紹介しようとしたが、ずいっと2人の間に割ってはいる宍戸。

は突然の宍戸の行動に驚いて言葉を詰まらせる。

一方、鳳は宍戸に背を向けてうずくまり、声を殺すようにして肩を震わせている。



「何笑ってんだっ!!」

宍戸が鳳の背中に思いっきりケリを放った。



「…すいません」

口では謝罪の言葉を口にしているが、笑いは収まっていないようで口元がかすかに緩んでいる。



「てめぇはそいつつれてあっちに行ってろっ」

ジョンを指差して怒鳴る宍戸。



「はいはい…じゃあっちに行って遊ぼうか」

そう言って鳳は長身をかがめジョンの頭を撫でた。

頭を撫でられジョンはパタパタと尻尾を振った。

どうやら彼の事が気に行ったらしい。



「あっそれお借りしていいですか?」

リードを指差す鳳。



「あの…」

「困ったものですよね、宍戸さん我侭だから」

「鳳っ!!」

「はいはい。すいません」



戸惑う から笑顔でリードを受け取る鳳。

そして、彼はジョンと向こう側へといってしまった。



「…」

は何がなんだか分からず鳳の後ろ姿を眺めている。



「おい」

ラケットをいじりながら宍戸が に声をかける。

宍戸の方に視線を移す



「…今度、試合があるんだ」

むすっとしラケットの方を見たまま宍戸が行った。



「あっそうなんだ…」

頑張ってと付け加える

突然そんな事を言われ、戸惑う気持ちがある。



「…見に来い」

小さく呟かれた言葉。



「えっ?」



「見に来いって言ってんだよっ!!」

聞き返した に宍戸は怒鳴った。



「…あっうん…」

は宍戸の勢いに押されるように頷いた。



「…激ダサだな」

宍戸は小さく舌打ちをすると前髪を書き上げた。















一方、コートの向こうにいた鳳は肩を震わせていた。



「本当、見ていて飽きないよね、宍戸さんって。お前もそう思うだろう?」

鳳はにっこりと微笑んでジョンの頭を撫でると、ジョンは"オンッ"と一声鳴いた。





彼と彼女が付き合いだすのはもう少し後のお話。





(Fin.)










反省文

宍戸夢いかがだったでしょうか ?
今回の副題・俺様宍戸鳳を巻き込み障害(犬)を取り除くの巻…です。
1の後半では付き合っていた2人ですが、今回は省いた部分、付き合う前の段階です。
宍戸はきっと照れてしまって素直になれないのでは無いかと思うのですよ。
かといって黙った見つめるだけのタイプでもないような気もするし…。
行動しようとするのだが照れてしまってどうして言いのか分からないというか。
勢いで行くタイプというか…。
策略めいた事はしないでしょう。
彼はとっても善人☆
とまたまた自分のイメージで突っ走りました。
読んでいただきありがとうございました。
感想なんぞいただけると大変嬉しいです。










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