「何でお前にそんな事言われなきゃならねぇんだよっ!!」

「うるせえっ!大体てめぇが悪いんだろうが!!」



大声を張り上げる2人を遠巻きに眺めるクラスメート達。

そして、呆れた様にこう言う。

「また、やってるよ、あの2人」

「あれで、付き合ってるなんて、本当信じられないよな」

「ほんと」



すっかり見慣れた日常の光景になってしまった、男子テニス部レギュラーである海堂と男子テニス部マネージャーである の口喧嘩。

お互い相手を睨みつけ、普段の2人の性格からは想像もつかないような大声で相手に感情をぶつける。



そして、最終的には。



「けっ!」

「ふんっ!」

お互いそっぽを向いて、たいてい海堂の方が教室から出て行く。

ちなみに今日も、海堂は教室から出て行った。

はどかっと自分の席に腰を下ろす。



「また、派手にやってたなぁ」

「…桃城」

可笑しそうに笑いながら近づいてきた桃城を、はいまだ不機嫌な様子で睨みつけた。



「何か用か?」

ゲラゲラと大声で笑う桃城がかんに触るのか、はいつもより声のトーンを落として桃城にそう尋ねた。



「不機嫌だな…まぁ用って用は無いんだけどさ、教室の前を通ったらお前らの声が聞こえたから何となくな。…で、今回は一体どうしたんだ?」

笑いながらそう訪ねる桃城に、の目がキランと光り、一気に話し始める。

「…どうした、だってっ!大体アイツがいきなり訳分かんない事言い出したのが悪いんだよっ!なのに、アイツはあたしが悪いの一点張りだし、大体アイツは普段からなに考えてるかわかんないんだよっ!!桃城っお前もあいつの言うことなんか無理な事だって思うだろっ?」



「…そう言われても…お前の言ってる事も、俺にはさっぱり分かんねぇよ」

の剣幕に押され、興味本位で聞いた事をちょっと後悔する桃城。  



「ダーっ何で分かんねぇだよっ!!」

逆ギレ。

はすっかり頭に血が上っている。



「…とにかく少し落ち着け。ほら、深呼吸でもして、もう一回話してみろよ」

桃城にそう言われ、は大きく息を吸い込み、吐き出す。

それからゆっくりと口を開く。

あまりに真剣なの眼差しに桃城はごくりと、喉を鳴らした。



「…アイツがあたしに部活に来るなって言い出したんだ」

「はぁ!?」

「な、訳分かんないだろ?」

「確かに訳分かんねぇなぁ…」

桃城は、頭をかく。

「だろ?」

桃城の賛同を得て、何となく勝ち誇った態度を取る



「でもよぉ、確かに海堂の奴は普段何考えてんのか分かんねぇけどさ、意味も無くただそんな事言う奴じゃねぇんじゃねぇか」

目から鱗。

まさに犬猿の仲といわれる桃城が、海堂の事をそんな風に見ていたなんて…。

は唖然とする。



「いけ好かない奴だけどさ、悪い奴じゃないだろ?お前は心当たり無いのか?海堂がそう言った原因」

ふるふる、と頭を左右に振る

「…そっか」

八方ふさがりってやつだな、と桃城は天を仰ぐ。



「…」

「あっ…まぁ、あいつのことだからただ虫の居所が悪かっただけかも知れねぇしさ」

急に暗い表情になったをみて桃城が慌ててそう言った。

「…うん。くよくよ考えても仕方ないよ…な」

そう言って笑うが、どこか暗さを残すの表情。

「あんま、考えすぎねぇ方がいいぞ」

そう言って、桃城がの頭をぽんぽんとたたいた時、



「…何やってんだ」

低い声。

ふしゅ〜というあの独特の呼吸音と共に海堂が桃城との横に出現。



「海堂」

が海堂を見上げる。

が、海堂は桃城を見据えての方を見ようとしない。



自分を睨みつける海堂にむっとしつつ、桃城が口を開く。

「…おい海堂。てめぇ、あんまを困らせんじゃねぇぞ。彼氏ならもっと優しくしてやれよ」

桃城の言葉に海堂の視線が一層鋭くなる。

「…てめぇには関係ねえだろ」

の腕を掴んでぐいっと自分の方に引っ張り寄せる海堂。

はそのまま海堂の方へ倒れ込む。



「イタッ!痛いだろ、馬鹿っ!!」

は手を振り解いて、海堂から離れる。



「…誰が馬鹿だ」

「お前以外どこにいるんだよ!」

「何だと!」

2人がお互いを睨みつけ、本日2回目の口喧嘩を始めた。



「大体何で怒ってんだよ。あたしは何にもしてねえだろ。自分の不機嫌八つ当たりするのも大概にしろよ」

「怒ってねぇよ、大体何で俺が不機嫌になんなきゃなんねぇんだよ」

「怒ってるじゃん」

「怒ってねえってつってんだろっ!大体お前が悪いんだろうがっ!!」

「はぁ!?」

「喋りたきゃこいつと喋ってろよ!このヘラヘラした奴とよ」

海堂は桃城を指差す。

「どうしてそんな風に言うんだよ。桃城優しいし、いい奴じゃないか」

「そーか、よかったな」

「なんだよ、その言い方」

「優しけりゃ誰でもいい奴なのかよっ!俺は、こういうの嫌いなんだよ。何かムカツクしな」

「てめぇ、チームメイトだろ」

「好きでなった訳じゃねぇ」



「ぷっ。」

2人の会話を聞いていた桃城が突然笑い出した。

「アハハハハ、そういう事かよ」

笑い転げる桃城。



「…ふしゅ〜」

「何笑ってんだよ、桃城」

無言(?)で桃城を睨みつける海堂と、桃城に文句を言う

なおも笑い転げ続ける桃城。



「お前もやっぱ男だったんだな、マムシ」

バンバンと海堂の背中を叩く桃城。



「ふしゅ〜」

そんな桃城を海堂威嚇。



「すまん、。海堂の不機嫌の原因はどうやら俺にあったみてぇだ」

まだ、ヒーヒーと苦しそうに笑いながら桃城がに言った。

「…訳分かんねぇんだけど」

そう不機嫌そうに言うを見て桃城はますます面白そうにひとしきり笑った後で、何とか呼吸を整える。



そして、

、悪いけど俺の口からは、言えねぇな、言えねぇよ」

と、言った。



が、ふと何かを思いついて海堂をもう一度見てにやりと笑いこう言った。

「あっでも俺からは言えねぇけど、乾先輩とか辺りに聞いたらきっと教えてくれると思うぜ」



「桃城…てめぇ」

その言葉を聞いて苦虫を潰したような顔になる海堂。



「じゃ、頑張れよ、海堂」

桃城はそんな海堂を見て楽しそうに教室から出て行った。



「…何なんだよ、一体」

あとには、何のことか分からないまま会話においていかれて呆然とすると、ほんの少し頬を紅潮させた海堂が残された。










後日談。





「それは…ただのやきもちだね」

眼鏡をキランと光らせてそうさらりとそう言う乾。

「え?」

目を丸くする

「あいつは基本的に周囲にいるその他大勢の人間には関心持たないタイプだけどその反動からか、親しくなったごく一部の人間に対してはかなり執着する傾向があるからね。親しい人間の中でも、特に への執着はかなり強い。ただでさえ自分だけのものでいて欲しいと思っているだろうに、1年の時からお互い何かと競い合ってきた桃とが仲良さげに喋っている。気になって気になって仕方ないんだろうな。海堂は独占欲が強いから」

乾は、ノートに何やら書き込みながら、そう言った。



「でも、桃とはただの友達っすよ。あたしマネージャーだし、部員と話さないわけにはいかないじゃないっすか」

が気にする事ないよ。そんな状態の海堂は放っておけばいい。だだっこと一緒で意地を張って、引くに引けなくなってるだけだからね。ここでが下手に出たら、次も同じ行動をとれば自分の思い道理になると思わせてしまう。本当はにかまって欲しくて仕方がないだけなんだから放っておいた方が海堂のためだよ。」

「…はぁ」

困った顔をして俯いてしまうを乾は微笑ましく思う。



「よく言えばそれだけのことが好きなんだよ、海堂は」
   
乾のその言葉にかぁっと赤面する

そんなに乾は微笑む。



「だからね、海堂には勝手にヤキモチ焼かせとけばいいんだよ」

それから、意味ありげにドアの方に視線を向け、眼鏡の位置を直す。



「…チッ余計な事を」

ドアの外にはヤキモチ焼きのまむしが1匹。





(Fin.)










反省文

海堂が女の子と大声で喧嘩なんかするか?という内なる声と葛藤。
やっぱ相手と絡んでない…という内なる声と葛藤。
最後の場面乾が出てくる意味があるのか?桃城に原因について言わせればいいじゃん、という内なる声と葛藤。
最後乾ではなく不二の方がキャラあってないか、という内なる声と葛藤。
その他諸々内なる声と葛藤。
精進精進でありますぅ〜。
さて気を取り直して海堂夢どうだったでしょう?
感想なんぞいただけると大変嬉しいっす。
どうも女の子が気が強くなる傾向がありますねぇ。
困ったものですね、はは。
さてはて、ではまたお会いいたしましょう。
お読みいただきありがとうございました。










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