「そんな事言えないッスよ」         

コートの端で何やら騒いでいる3人――桃城、菊丸、そして不二。   

手塚がいれば、即グラウンドを走らされる所だが、幸い、今日は生徒会の仕事があって遅れてくるらしい。



「駄目だよ、桃。ちゃんと言わなくっちゃ…本当まだまだだね、な〜んてね」

楽しそうに越前のマネをしながら言う菊丸。  

「だって、そんなの軽くほいほい言える事じゃないでしょ」      

そう言った後で、この2人だったら至極軽くスラリと言いそうだ、と桃城は思ったがそれは口にはしない。       

「ん〜もう桃は恥ずかしがりやさんなんだにゃ〜」         

困ったもんだという表情の菊丸。       



「…ねぇ桃はテニス好き?」         

それまで横で笑顔で利いていた不二が口を開く。



「なんスか、突然」  

「いいから、テニスは好き?」        

「好きっスよ。決まってるじゃないスか」   



「ヤキソバパンは?」 

「好きっスよ」    



「ネコは?」     

「好きっスよ」    



「じゃ、彼女の事は」 

「…言えないっスよ、そんなん」       

かぁぁっと顔を赤くする桃城。        



「どうして言えないんだろうね」       

そんな桃城に小さくため息をつく不二。    

桃城は顔を赤くしたままむすっと視線を背けている。         

そんな桃城を見て、不二と菊丸は顔を見合わせて苦笑した。      



「ねぇ桃。どうしてテニスとか食べ物とか動物には好きって言えるのに、彼女に対しては好きって言えないのかな?」  

「…」         

不二の問いに答える事が出来ない桃城。    



「その顔は好きの種類が違うとか思ってる?…違うよ。君が彼女に対して常に上位にたっていたいと思っているからさ」 

さっきまでの笑顔は消えて、真剣な表情で桃城に向かう不二。     



「他はちゃんと好きだって言えるのに、彼女のことについては好きと言えない。恥ずかしい?何で恥ずかしいの?それは、自分の方が彼女を好きだって知られるのが怖いからだよ。」      

そんな不二の言葉に目を見開いて固まっている桃城。         



「彼女の事好きなのは、恥ずかしい事じゃないでしょ?そう言えないのはただ、桃の中の…気持ちの問題」       

そう言って不二はにっこりといつもの笑顔に戻った。         



「好きなら好きって言ってあげないとね。意地張ってると彼女どんどん不安になっちゃうよ。相手に好きでいてもらいたいなら自分からちゃんと好きって言わなくっちゃ」 

にゃははんと笑って菊丸はぽんぽんと桃城の肩を叩く。



2人の話を聞いて考え込む桃城。

「やっぱちゃんと、言わなきゃいけねぇよな、いけねぇよ」

そんな事をブツブツと言いながら。



そんな桃城を見て不二と菊丸は視線を合わせて微笑むと再び優しい目で桃城の方を見た。










――練習後。





「やったね、不二」

「本当桃が単純でよかったよ」

そう言って笑う2人。 



「やれやれ、世話の焼ける後輩を持つと先輩は苦労するにゃ〜」

「彼女から相談された時はどうしようと思ったけどね」

「これで、悩み解決。一件らくちゃ〜くってね」

任務完了、と晴れやかな笑顔で帰っていく不二と菊丸でした。





(Fin.)










反省文

名前変換なし…です。
某ドラマの台詞もどきを言って欲しい…と思い書いてみました。    
私は、Likeの好きは言える人ですが、Loveの好きはなかなか言えない人なのでその台詞にかなりの衝撃を受けたんですね。
今でも簡単に言えるかぁと思ってますが…。  
私の中では不二と菊丸は比較的すんなりそう言う事を言ってくれそうなイメージ…でも、これを書いていて案外2人とも肝心な所で照れて言えないのかもしれないなぁ…と思ったりしてます。  
この話、実は最初は、そんな3人の会話を聞いていた海堂が彼女に好きと言えずに悩むという海堂夢のはずだったのですが…そのまま桃城になってしまいました。    
やはり桃城は青学一の曲者かもしれません。










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