始まりは先週の土曜日。
「乾先輩って眼鏡外すと結構カッコいいんだね」
教室でお弁当を食べていたときの朋香の何気ない一言。
「えっ?」
聞き返す。
「またまた〜とぼけちゃって」
朋香はにやっと楽しそうな笑みを浮かべて言葉を続ける。
と乾が付き合い始めて1ヶ月ちょっと。
そんなことは情報通の朋香ならずとも知っていること。
「そんなとこにドキッと来ちゃったんでしょ?祐ちゃんは」
「朋ちゃん」
悪乗りをしだした朋香を止める桜乃。
「先輩、めったに眼鏡外さないけど?いつも眼鏡かけてるでしょ?」
は怪訝そうな顔をする。
「だよね。あの度のきつそうな眼鏡。アレのせいで乾先輩の目ってはっきり見えないでしょ?だから私も見るまではどうなってるんだろうって疑問だったのよ」
笑う朋香。
急にの顔が強張った。
「…朋ちゃん、先輩の眼鏡外したとこ見たの?」
「うん。この間男テニの合宿の手伝いに行ったときにばっちり。ね、桜乃」
「えっあっうん…」
「ふ〜ん…」
「…あれ?祐ちゃん?」
箸を置き、顔を伏せてしまったを見て朋香と桜乃は顔を見合わせた。
「祐ちゃんどうしたの?」
桜乃が心配そうにの顔を覗き込むようにして尋ねる。
「あっごめん」
ぱっとは顔を上げた。
その顔には無理矢理作られた、と思われる笑顔。
「どうしたのよ?あんたらしくもない」
「何かあったの?祐ちゃん?」
「あ〜…うん…べつに…」
視線をそらす。
「…」
「…」
「…」
ペチン。
朋香はそんなのオデコを軽くはたいた。
「痛っ」
オデコを押さえる。
「言いなさいよ。そんな顔をして何もないなんて信じられると思う?」
の鼻先に人差し指をビシッと当てる朋香。
は反射的に身体を少しそらした。
「と、朋ちゃ〜ん」
朋香を慌てて止める桜乃。
朋香は人差し指を戻す。
「あ〜…実はさ」
身体を戻しつつ話し始める。
「私、乾先輩が眼鏡取ったとこ見たことないんだよね」
「「えっ?」」
朋香と桜乃は驚いて声を漏らす。
「先輩、眼鏡いつもかけてるし」
はぁ〜っと大きくため息をつくに朋香の顔がやや引きつる。
「でもあんたこの間先輩とキスしたってモガッ」
「わ〜っ朋ちゃん声が大きい〜っ」
慌てて朋香の口を塞ぐ。
小さく声を抑えて話を続ける。
「あ〜…だから、そのときも眼鏡したままだったんだよ」
「…邪魔じゃないの?それって」
「あ〜…いや〜…上向かされてチュッて感じだったからあんまり」
「…乾先輩ってなんとなく…やっぱり…絶対むっつりスケベっぽいよね」
「…。そ、そんなことないよ。どこらへんがむっつりだって言うのよ」
「微妙に間があったわよ。向かされてとか言ってる辺り自覚あるんじゃないの?そういうの強引そうだもんね、乾先輩って」
「…」
「…やっぱりね。これから色々大変そう〜」
「ふ、2人とも〜」
顔を真っ赤にさせている桜乃。
「ま、とにかく」
の腕から離れる朋香。
「乾先輩の眼鏡の下を見ない限り一人前の彼女とは言えないわ。一人前の彼女となるために私がアンタのために作戦を立ててあげる。名づけて『乾先輩の眼鏡取り大作戦』」
「…そのまんまだね」
「いいから、耳貸すっ」
「痛い痛いっ朋ちゃ〜ん」
朋香は強引にの耳を引っ張った。
の指摘は無視、されたらしい。
桜乃は2人に不安そうな視線でそれを見つめる。
「え〜それって作戦?そのまんまじゃん」
「ああいうタイプにはストレートに言った方が上手くいくのよ」
「そっかな〜?」
「恋愛の達人・朋香様に間違いはない」
「…恋愛の達人ねぇ〜…彼氏いないのに」
「むっ」
ぺチッ。
「だからオデコ叩かないでよ〜」
「五月蝿い。あんたが余計なことばっか言うからでしょっ。私だって今にリョーマ様とラブラブになるんだから」
「無理っ人のオデコをすぐに叩く朋ちゃんなんか絶対無理」
「なんですって〜アンタが叩きやすいオデコしてるのが悪いんでしょ!?」
「なにそれ?訳わかんないよ!?」
「あ〜ん…2人とも止めてよぉ〜」
騒ぎだすと朋香。
それを止める桜乃。
1年女の子sは今日も元気で…とても平和。
■戻■