「あっ」



昼休み。





屋上で友達とお昼を食べ終え、教室に帰る途中、人込みの中に自分よりも背の低いそれを見つけて 悠樹は何かを思いついたいたずらっ子のような笑みを浮かべた。

人込みをかきわけ、足音を忍ばせてこっそりとその背後に近寄った。



「えいっ!」

「うわっ!!」

そのまま羽交い絞めにする。



「ん〜相変わらず、小さくて可愛いね、越前君」

越前を捕まえたままにっこりと微笑む。



「… 先輩!?」

自分を捕まえている人物を確認し、慌てる越前。

必死でその腕から逃れようと暴れるが後ろから抱えられているため、その効果はあまりない。



ゾクッ。



何やらただならない気配を感じ、と越前はその場で固まった。



「何、やってるの?」



「「…」」

2人は恐る恐る、ゆっくりと後ろを振り返る。



「「…」」

にっこりと笑顔を浮かべている不二。



2人はゆっくりと顔を正面に向け、



バッ。



とすばやく離れた。



「楽しそうだね、2人とも」

フフッと笑う不二。



「そ、そんな事ないよ。ね、越前君」

「…勝手に 先輩がのしかかってきただけで、俺は何もしてないですから」

「ちょ、1人だけ逃げる気!?」

「…本当のことッス」

「でも、もうちょっと言い方ってもんが…」



「…楽しそうだね」

の言葉を遮る形で再び不二が口を開いた。

と越前は固まったように、不二の方を見る。



しばしの沈黙を置いて、



「…嫉妬ッすか、不二先輩?」

ぼそっと呟く越前。



「何か言った?」

開眼。



「いえ、別に」

視線を逸らす越前。

不二はゆっくりと越前から へと視線を移した。



「…越前、そろそろ、教室に戻った方がいいんじゃない?授業に遅れるよ」

「…っす」

越前はすたすたと不二がいる方とは反対方向に去っていった。



「ちょ、え、越前君!?」

は慌てて越前の名を呼んだが、返事は返ってこなかった。



「…何が言いたいか、わかってるよね?」

不二がずいっと に近づく。

反射的に後ろにさがる



「あ…ぅ…」

は背中に詰めたいコンクリートを感じた。



背後には壁。

目の前には不二。

左右は不二の腕によってふさがれている。

逃げ道は無い。



、大好きだよ」

さらに との距離を縮める不二。



「う…あ…あ、ありがとう」

は不二から逃れようと、後ろに下がろうとするが、そんな事できるはずもなく仰け反る感じになる。



は?」

いつもより声を抑えて不二が の耳元で囁いた。

囁き終わると不二は を正面から見つめる。



「えっ…あ…まあね」

そう言って は俯いて、不二から視線を外してしまう。



「それって答えになってないよね。…ねぇ、 は?」

不二はやや背をかがめるようにして の顔を覗き込む。



「そ、そんなの…」

は今度は右上へと視線を逸らした。



「ん?」

言葉を促すようにほんの少し首を傾ける不二。

そんな不二を はきっと睨みつけた。



「そんなのこんなところで言える訳ないじゃないかっ!!」

昼休みの学校の廊下。

周囲には2人の他に多くの生徒がいる。

流石にまじまじと視線をこちらに向けている者はいないが、周囲にいるものは明らかにこちらに神経を向けているという感じで…。

そんな中で は不二によって壁の方へ追い詰められていた。



「離れて。暑いって」

はそう叫ぶ。



「じゃ、突き放してみる?」

そう言う不二はいつもの優しげな顔ではなく、試合前のような挑戦的な顔。



「うっ…」



一瞬固まる



は顔を隠す様に壁にしがみつき不二に背を向けた。

それを楽しそうに見ているだろう不二が目に浮かぶ。

悔しいような、それでいて暖かい感情。

昼休みの終わりを知られる予鈴が鳴った。



「もう、あんな事しないで欲しいなぁ」

ぽんと軽く頭を叩き、不二は後ろに下がった。

はゆっくりと後ろを振り返る。



「そうそう、続きは、また今度ね」

にっこりと微笑む不二をは複雑な気持ちで見つめていた。





(Fin.)










反省文

不二夢いかがだったでしょうか?
…彼女至上主義で独立独歩の不二を書こうと思ったのですが…何でしょう、コレ。
何を書きたかったの、自分?
3つほどパターンを試したのですがコレが一番それっぽかったので…。
他はお蔵入り…かな…手が止まって途中までしか書けなかったし…。
毎回言ってますが、不二夢、難しいです。
不二様…いまだどう動くか分かりません。
乾データをもってしても正確なものが取れないのですから私がつかもうとしても無理か…とちょっと諦め気味です。
いやいや、精進していればきっと、うん。
読んでいただきありがとうございました。
感想なんぞいただけると嬉しいです。
それではまたお会いいたしましょう。

2003.8.某日










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