地元の花火大会。

折角友達と一緒に来たと言うのに、出店に目を奪われているうちに友達とはぐれてしまった。



「…うん、じゃ、このまま現地解散って事で…って切れた…やっぱ携帯繋がりにくくなってるんだなぁ…。まぁ現地解散て言った後だったし、大丈夫かな」

携帯を鞄にしまうと、 は小さくため息をついた。



周りは親子連れ、友達同士、恋人達…知らない人たちが楽しそうに過ぎ去っていく。

人込みに流されないように電信柱の横でそれを眺めて はもう一度小さくため息をついた。



「折角来たたのになぁ…仕方がない…帰ろうかな…」

小さくそう呟くと は人ごみの中に飲まれていった。



「キャッ」

俯き加減で歩いていたためか、 は突然誰かにぶつかってしまった。



「あっすいません」

慌ててぶつかった人物に頭を下げる



「いえ、僕も不注意で…あれ?君…いつも練習を見に来てる子だよね?」

相手にそう言われて、 は下げていた頭を上げる。



の目の前に立っていたのは…。



「不二先輩ッ!?」



いつもの笑顔を浮かべた不二だった。



「やっぱり」

そう言う不二の笑顔に は見とれる。

憧れの先輩を前にして心拍数が急激に上がりだした。

顔が熱くなるのを感じて は再び視線を下へと向ける。



「あ、あの、こんばんは。先輩も花火見にいらっしゃったんですか?」

緊張して声がややうわずる。



「あ、うん」

にっこりと微笑む不二を上目遣いにこっそりと見て はますます頬が熱くなるのを感じて、少しでも冷やそうと自分の手を頬に当てた。



「…不二、知り合いか?」

すっと不二の後ろから手塚が姿を現す。



「まあね、よくコートに来てるでしょ?彼女」

「…そうなのか?」

「手塚らしいね」

そう言って不二は面白そうにくすくすと笑い、手塚は居心地が悪そうに視線を逸らした。



「手塚先輩といらっしゃったんですか…」

不二が女の子とここに来たのではない事を知り、ほっと胸をなでおろす



「手塚と…って言うとちょっと語弊があるかな…今日は部活のみんなできたんだ。向こうにまだ何人かいるよ」

不二の言葉に はレギュラー陣プラスαで来たのだろうと推測する。



「で、君は?誰と一緒にきたの?友達?家族?それとも彼氏かな?」

「か、彼氏なんていませんよっ…友達と来たんですけどはぐれちゃって…」

慌ててそう言う

しかし、憧れの人物を前にして顔をあげる事はできない。



「そうなんだ…で、これからどうするの?」

の答えを聞いて意味ありげな笑みを浮かべる不二。

しかし、 は俯いてしまっているため、そんな不二の様子には気付かない。



「1人じゃつまらないしそろそろ帰ろうかと思って…」

「まだ花火見てないのに?…ふーん、ねぇ手塚、僕抜けるから後ヨロシクね」

にっこりと手塚に微笑む不二。



「何?」

手塚は予期しなかった不二の言葉に戸惑う。



「女の子1人じゃ心配だし、今回は僕がナイト役をさせてもらうことにするよ。いいよね…じゃ行こうか」

有無を言わさない笑顔を手塚に向けた後、 の方を向いて手を差し出し、優しく微笑む不二。



「えっあの…ふ、不二先輩!??」

不二は戸惑う の手を取って人込みの中へと紛れていった。

後に残された手塚は、そんな2人の姿を呆然と見ていたが、深くため息をつくと反対方向へと消えていった。















「ちょ…不二先輩、いいんですか!?部活の人達と一緒だったんですよね!??」

「手塚に言ったから平気だよ」

「で、でもでもでもぉ〜!!きゃっ」

ぴたっと突然歩みを止める不二。



は不二の突然の行動についていけずそのまま不二の肩にぶつかる。

は不二を見上げる。

予想以上に近い位置に不二の顔があり、 はその場から飛びのこうとしたが、不二に手をしっかりと握られているため、ほんの少し後ろに下がれただけだった。



「ねぇ、僕と一緒なの嫌?」

ちょっと憂いを含んだ笑顔を に向ける不二。

そんな不二の仕草に の心臓はドキンッと飛び上がる。



「そ、そんな事ない…です」

そう言って、顔を赤くして俯いてしまった に不二は優しく微笑む。



「じゃ、一緒に花火見よう?折角来たんだし花火見ないなんてもったいないよ」

そう言って不二は再び歩き出した。















どんどん人が少なくなっていく。

しかし、不二はどんどん歩みを進めていく。

次第に は不安になってきて、不二に声をかける。



「あ、あの…不二先輩?」

「何?」

「どこに行くんですか?」

「内緒」

クスッと笑みを漏らす不二。

そんな不二を見て は再び黙って不二に連れられ歩いていく。



「ほら、ここ」

着いたのは河川敷の土手。



「ここ…ですか?」

何もない河川敷の土手に連れてこられて戸惑いを隠せない



「ちょっと会場から離れてるけど、綺麗に見えるんだよ。ここなら静かに花火が見れる」

そう言って不二はにっこりと笑う。



「はい、君はここね」

不二はそう言って着ていた上着を脱いで土手の草の上にさっと引く。



「え、でも」

「いいから、ほら」

強引にその上に不二は を座らせ、自分もその横に座り、そして空を見えげる様に仰向けに寝転がった。



「君も寝てみる?こうすると空に吸い込まれるようで、花火を独り占めできるような気分になれるよ…あっ洋服が汚れちゃうかな?」

そう言って不二が苦笑する。



「そんなの気にしませんよ」

そう言って も不二の横に寝転がった。





ドーン





ちょうどいいタイミングで花火が上がった。



「わぁ」

思わず声を漏らす



「ね、よく見えるでしょ、ここ」

にっこりと笑う不二。



「はい」

はそう言って目を輝かせて不二の方を見ると、再び視線を上へと移した。



夜空に色とりどりの花が咲く。



ぱぱぱぱっと一気に花火が上がり、再び夜空はあたりは暗闇に戻った。



ハァ〜っと は大きく息を吐き出した。



「凄く綺麗でした。ありがとうございます、不二先輩」

は不二の方を振り返る。

不二からは返事は無い。

は少し身体を起こして不二の方を見る。

不二はスースーと一定の寝息をたてていた。



普段より幾分幼く見える不二の寝顔。

そんな不二を見て は優しく微笑んだ。

そして、不二に借りた上着についた草をパタパタとはらってから不二にそっとかけてやる。

そして は再び草の上に寝転んで空を見上げた。



空には花火はないが、綺麗に星が瞬いていた。



は、この夜空の中に吸い込まれ、不二と二人星の世界にいるような感覚を感じていた。





(Fin.)










反省文

いかがだったでしょうか?
書いた本人としては、甘く甘くもっていったつもりですが…どうでしょう?
まだまだ精進精進です。
季節的に花火大会物書きたかったんですよ。
というか個人的楽しみとして某氏の行動をネタにしてみたくて…。
ごめんなさい、個人的楽しみに走りました…。
一部某氏の実話が入ってます…スマン某氏…ネタにしてしまったよ…。
さてはて、どこら辺が実話だったんでしょうね。
推理してみるのも楽しいかもしれません(笑)
という事でもしよろしければこれからもよろしくお願いいたします。










■戻■