「どうしたんだ?その手…」

大石は の姿を見て唖然とする。

「…体育のバスケでちょっと…ね」

そう言った の右手中指は痛々しく包帯が巻かれている。

「あっ本当、大したことないから」

心配そうな大石の表情に気付き、 はにっこりと微笑んだ。



「…決めたっ」

大石はしばらく を黙ってみていたが、キッパリと宣言をする。

「え?」

何を決めたのか、分からず は聞き返す。



…何となく、嫌な予感。



「怪我が治るまで、俺が世話するからな」

にっこりと笑顔を向ける大石。

「えっ…いや…」

さぁっと顔から血の気が引く



「授業中のノートは代わりに取るし、他に困った事があったら何でも…あっ、お前親が共働きで毎日夕食作ってるっていってたよな、それも俺がやるから」

やる気満々と言った感じの大石。

その目は何なら使命感に燃えている。



「あ、あのさ…」

遠慮がちに は口を開く。

「そうと決まったら、今夜の献立を考えないとな、うんっ」

グッと拳を胸の前で握り締める大石。

「…あの」

戸惑いがちに手を前に差し出す



「心配しなくてもいいよ。俺ちっとも迷惑だ何て思ってないし」

大石、満面の笑み。

「…そういう事じゃなくてさぁ」

顔を引きつらせる

のために何かできるのが嬉しいんだ。やらせてくれよ」

大石の周りにキラキラとした光が見える。

「…あ、うん」

それを見て はいいか分からず頷いてしまった。



「やっぱ和食かなぁ〜いやいや…しかし…」

心なしか鼻歌を口ずさみ、大石は自分の席へと戻って行った。



そんな大石の後ろ姿を見て は考える。

"大石って、他は上位クラスの成績だけど、家庭科だけはものすごぉく苦手じゃなかったかなぁ…?"

大石秀一郎…彼の行動は全て善意からのものであるが、その行動が時に周囲にとってはこれ以上ないほどありがたくないモノとなる事もあったりする。















「あっ」



ガッシャーンッ。



「うわっ」




ガタガタガッターンッ。




「…大石、もういいよ。後は私やるから。大石は向こうで…」

恐る恐るという風に はキッチンを覗き込んだ。

。だめだよ、俺がやるから、心配いらないって」

そう言って大石はキッチンの様子を隠す様に の前に立つ。



「…いや、心配というか…」

ちらりっとキッチンの惨状に目をやる

「いいから、いいから」

大石は笑顔で の背を押すとキッチンから追い出そうとする。



「…」



ビシッ。



「ウッ」

無言のまま は大石の頭にチョップをくらわせ、大石が怯んだ一瞬の間にその横をすり抜けてキッチンの中へと入った。

怪我をしているので手首付近で大石にダメージを与えて…。

割れたお皿に…一瞬右手を出し、包帯が巻かれているのを見て反対の手を伸ばし、丁寧に片付け始める。



「ほら、大石、ぼぉっとしてないで掃除機とってきて。階段の下にあるから」

そんな の様子を頭を抑えつつ呆然と見ていた大石にそう声をかける。

「あっうん…」

そう言って大石はキッチンから消えた。



は、そんな大石にふっと微笑むと再び割れたお皿へと向かった。

大きな欠片をおおよそ取り除くと、

「取ってきたよ」

掃除機を片手に大石がキッチンに戻ってきた。



「大きい欠片は取り除いたからさ、それで残りの吸い取っちゃってよ」

大石の方を振り返る

「うん」

「あっ足元には十分注意してよね」

「わかった」

の言葉に素直に頷いて大石は掃除機をかけ始める。



「さて、と…痛っ」

は持っていた欠片を捨てようとして手を切ってしまったようだ。

「あ…」

人差し指からじんわりと血がにじみ出てくる。

やはり、なれない左手で作業していたせいだろうか。



っ」

の声を聞きつけて大石が飛んできた。

「どうした!?」

を覗き込む大石。

「あっ指切ったみたい」

はは…と苦笑する

「大丈夫か?ちょっと見せて」

その言葉を聞いて焦って大石は の手を自分の方に引き寄せた。

「大したことないでしょ?こんなん舐めときゃ治るって」

そう言って は大石に笑顔を向けた。



ぱくっ。



次の瞬間、 は固まった。

大石がなんの躊躇いもなく、血のにじみ出ている の指を口にしたのだ。

「はぅ!?」

は慌てて手を自分の方に引っ込めようとしたが大石の手にしっかりとつかまれて引き戻す事はできない。

「あ…」

かぁぁと の顔が染まる。



「ん?」

そんな の変化に気付き、大石は口を離す。

「どうした、 ?顔赤いぞ」

不思議そうに尋ねる大石。



「…」

はただ赤く染まった顔を大石から背ける事しかできなかった。





(Fin.)










反省文

いかがだったでしょうか?
微妙にエッチ臭いですね。
ただ彼女といちゃこいてる大石が書きたかっただけなのですが。
どうも 笹間が書くと大石はやられっぽいです。
もっとカッコいいのになぁ…。
カッコいい大石が書ける様になりたいです。
笹間の中の大石はかなりの天然のようで…。
無意識のうちに大胆。
それが一部の人間にとっては虐めたくなるのかもかも…。
こんなでもよければ、花福茶屋の中村様に捧げます。
以前、大石夢って少ないんだよねぇ…とこぼしてらっしゃったので。
色々お世話になっているお礼と言う事で受け取っていただけると嬉しいです(返品可)。
読んでいただきありがとうございました。
感想なんぞいただけると大変嬉しいです。
2003.9.11.










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