「おはよう、手塚。あれ?」
すでに部活にきていた大石。
手塚に声をかけて、隣りにいる人物に気付く。
「おはよう、ちゃん。今日は見学?」
「はい」
「そっか」
にっこりと笑うに大石は微笑み返す。
そんな光景を見て、手塚は考える。
『大石なら、比較的安全だな…』
と。
「…大石、すまんが俺が着替えている間こいつを見ていてくれるか?」
「あ、別にいいけど」
手塚の申し出を快く受ける大石。
手塚は大石に頷くと、の方を向き直る。
「、悪いがしばらくここで大石と待っていてくれ。分かっていると思うが、何かあったらすぐに呼ぶんだぞ」
「うん、分かった」
にっこりと微笑むに本当に分かっているのだろうかと、不安になる手塚。
「…大石、くれぐれも他のやつらをに近づけるなよ」
「あ、あぁ分かったよ」
手塚の言い知れぬプレッシャーに1歩後ずさる大石。
そして、手塚は部室の中へと消えていった。
「お久しぶりです」
の声で固まっていた大石復活。
「あ、本当そうだね。この間手塚の家に行って傘返してもらった時以来、かな?」
「そうですね。本当はもっと早く遊ぶに来たかったんですけど、部活の邪魔になるせいかお兄ちゃんがなかなか許してくれなくて」
「邪魔なんて…よかったらまた遊びにおいで」
ほのぼのとした空気が流れる。
「大石ぃ」
そんな空気を壊すようにどかっと背中に覆いかかるもの。
「英二っ」
そのまま前につんのめる大石。
「きゃ」
驚いて声を上げる。
その声に菊丸はの方を向く。
「あっちゃん」
にゃはっと笑う菊丸。
「あ、どーも」
『誰だっけ…』
と、思いつつは笑顔を菊丸に向ける。
「俺、3年の菊丸英二。前に1回会った事あるよね?覚えてる?」
そんな菊丸の問いに笑って誤魔化す。
「今日は一日見学?」
「あっはい」
「そっか。ぜひぜひ俺のプレーも見てってね」
にっこりと笑う菊丸のしたから声がした。
「…英二、重い」
「あっごめんごめん」
そう言って大石の上から退く菊丸。
「…まったく」
ため息をついて立ち上がる大石。
と、の方へと視線を向けるといつの間にやらがレギュラー陣に取り囲まれていた。
「…」
『いつの間に…』
呆然とその光景を眺めていて、大石ははっと先ほど手塚から言われた事を思い出す。
『…くれぐれも他のやつらをに近づけるなよ』
いつもの倍くらい眉間にしわを寄せていた手塚の顔を思い出す。
『…ヤバイ、よな。…どうしよう』
1人青ざめる大石。
一方質問攻めにあっていた。
そんな中、ふと忘れていた手塚との約束を思い出した。
『…これってお兄ちゃん呼んだ方がいいのかな…でも、同じ部活の人だしお兄ちゃんとこれで雰囲気悪くなっちゃったりしたら…でもでも、呼ばなかったらもう部活見に来ちゃ駄目って言われるかもしれないし…』
そんな時、カチャッと部室のドアが開く。
中から出てきたのは…。
「お兄ちゃん」
周りは一斉に部室の方を振り返る。
そこには、かなりお怒りのご様子の部長様。
「…お前ら、何をしている」
低い声。
固まる部員達。
「とっとと着替えてグラウンド50周だっ!」
部長の怒声ににたかっていた人だかりは散り散りに散っていった。
「…お兄ちゃん」
普段自分に見せる優しい兄とは違った面を見せられて固まる。
「…何でもっと早く呼ばなかった?」
「…」
「約束が守れないならもう帰れ」
「…」
「…!?」
厳しい表情で自分を見る手塚を見上げていたの表情が見る見るうちに歪んでいく。
は泣きそうになるのを下唇を噛み締めて必死に耐えて、手塚の方を睨みつける。
そんなにたじろぐ手塚。
「あ、すまん、強く言い過ぎた。俺が悪かったから、な」
慌ててとりなしにかかる手塚。
そんな間に見開かれたの目からポロポロと涙が落ち始める。
「あぁ、ほら、最後まで見てっていいから」
くっと、声を飲み込む。
「じゃ、こうしよう、今度、一緒にテニスができるようお前に教えてやるから。な、だから…頼むから泣き止んでくれ」
必死でを泣き止ませようとする。
「…まだまだっすね、部長」
後ろから遅れて現れる越前。
「…越前」
失態を見られて、青ざめる手塚。
「大丈夫っすよ、他には言いませんから」
不敵な笑みを浮かべる越前。
そして、すたすたとの傍に近寄る。
「ね、あんたこれから校内探索に行かない?俺案内するから」
いつもは見せない笑顔をに向ける越前。
「え?」
突然話を向けられ、驚いての涙が止まる。
「俺も1年だし、あんたも気を使わなくてもいいでしょ?」
「ほら」
の手を取って歩き出す越前。
「えっあっ」
戸惑うと、固まる手塚。
その時の頭の中をある言葉がよぎった。
『部活の人達にどこかに連れていかれそうになったらすぐにお兄ちゃんを呼ぶ事』
「お、お兄ちゃん」
その言葉に、手塚はを越前の手から奪い取った。
「ふーん」
そんな手塚に不敵な笑みを向ける越前。
「…越前、とっとと着替えてこい」
そう言って越前を睨みつける手塚。
越前はそんな2人に背を向けて手をひらひらと振ると部室の中へと消えていった。
ほっと安堵の息をつく手塚。
腕の中には可愛い妹。
「お兄ちゃん?」
「あぁすまん」
不思議そうに見上げてくるを手塚はようやく腕から解放した。
「行くぞ」
そうしてコートに向かってすたすたと歩き出す。
「あ、待ってよ」
その後をちょこちょことは急いで、追いかけた。
手塚の苦労はまだまだ続く。
一日はとても長い。
(Fin.)
反省文
…手塚性格違いますね。
誰でしょうこれは?
でも、これは兄馬鹿テイストのお話ですんで…ははは、と笑って済ませてください。
この話、兄馬鹿と言うよりシスコン…ですね…。
たまには遊んでみるのもいいものです。
で、ではまたお会いしましょう。
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