手塚が生徒会の仕事を終えたとき、外はだいぶ暗くなっていた。

下校時刻はとっくに過ぎていたが、仕事を理由に教師からやや強引に許可とってあるので問題はない。

そろえ終わった書類をとんとんと整え手塚は確認のため目を通す。

後は会長である、手塚の仕事だ。



「悪かったな、手塚。でも助かったよ」

そう手塚に声をかけたのは副会長の佐藤。

「いや、俺の方こそこの件はお前にまかせっきりだったからな、すまない」

「でも、それが俺の仕事だったからな…すまん、その、部活の方、よかったのか?」

「問題ない」

表情を変えずに手塚が答える。

それをみて佐藤の表情が先ほどより穏やかなものとなる。

どうやら、途中で部活を抜けさせてしまったことをかなり気にしていたようだ。



「手塚、お前も今日は帰れよ。下校時刻過ぎてるしさ」

穏やかな笑みを浮かべ佐藤が言う。

「いや、これだけ終わらせていく」

手塚はパンと軽くてもとの書類を叩く。

「そうか。じゃ、先行くな。お疲れ」

佐藤はかばんを手に取り、軽く反対側の手を上げた。

「あぁ」

入り口のところですでに帰り支度を終えた塚越と一緒に生徒会室を出て行った。



ドアが閉まり、足跡が遠のいていく。

手塚は天井を見上げるようにして身体を椅子の背もたれに預ける。

静かに目を閉じる。



瞼に映るのは愛しい少女の顔。



以前に比べれば、気持ちは安定してきたと思う。

彼女の心も身体も自分のものだという気持ちもある。

そのせいか、常に彼女を自分の横に縛り付けておこうという衝動に襲われてしまうこともだいぶ少なくなってきた。

と、自分では思っている。

だが、果たして本当にそう、なのか?



「…この時間ではもういないだろうな」

誰もいない生徒会室で誰に言うでもなく呟く。

「いかんな、こんなことでは…」

手塚は再び書類と向き合う。















手塚が生徒会室を後にしたのは佐藤たちが帰った時からさらに20分ほどたってからだった。

書類と生徒会室の鍵を持って職員室へと向かう。



「失礼します」

「おぉ手塚、ご苦労だったな」

職員室に入ると竜崎が手塚に声をかけた。

手塚は竜崎に一礼すると生徒会室の鍵を返し、書類を生徒会担当の教師の机に置く。



「手塚」

何やら竜崎が手塚に投げてよこした。

手塚はそれを受け取る。

「今日は遅いから戸締りをしたらすぐ帰りな。鍵は明日の朝練の後にでも持ってくりゃいいからね」

竜崎がにっと笑って言う。



手塚の手にあるは、部室の鍵。

顧問である竜崎が管理しているそれであろう。

「気をつけて帰るんだよ」

「はい」

手塚は竜崎に一礼をすると職員室から出て行った。















鍵を開け、手塚は暗い部室へ足を踏み入れる。

手探りで電気をつけ、手塚は内心ぎょっとした。



机の上に組まれた腕に伏せられている頭。



「…

軽い混乱が手塚を襲う。

なぜ、帰ったはずの彼女がここにいるのだろう。



「…んっ」

小さく声が漏れた。

ゆっくりと顔が上げられた。

「…おはよう、手塚」

ぼぉっと焦点の定まらない目で はそういった。



「あ、あぁ…」

何とか答える手塚。

呆然と を見ている。



「一緒に帰ろう?」

はそう柔らかく手塚に微笑を向けた。

手塚はゆっくり へと歩み寄る。

は椅子に座ったまま静かに手塚を見上げている。



手塚はの後ろに立つとを包み込むようにそっと腕を回した。

「…下校時刻はとっくに過ぎている」

そう言って腕には力が加わる。

は答えず、代わりに回された腕に頭を乗せるようにまわされた手塚の腕に寄りかかる。



「外はもう暗いぞ。危ないだろう」

手塚が小さく息を吐き出した。

の髪がかすかに揺れる。

「…待ってるの、嫌だったか?」

がそっと回された手の上に手を重ねる。

「…いや、そうでないから困っている」

少し歯切れに悪い手塚の答えには静かに目を閉じた。

その口元には幸せそうな笑みが浮かんでいた。





(Fin.)















反省文

いかがだったでしょうか。
携帯版でリク頂いてから随分時間がたってしまいました。
すみません。
本当は文化祭準備期間のお話になるはずだったのですが…時期が随分ずれましたね。
楓様、本当にごめんなさい。
オフライン忙しくて部屋にはお風呂と寝るために帰ってくる状態が続いてまして…もうしばらくネット落ち状態が続くかと…。
実習、資格取得、ゼミの論文、それに加え、年末のレポート地獄。
絶対講義の取り方間違えましたね、自分。
実習は無事終わりましたので…きちんと日記くらいは書いてきたいなぁと思ってますが…。
夢も書きたいのいくつかありますし、無理なくのらりくらりと頑張りたいと思います。
もう一人の自分がとっとと論文&レポートを終わらせてしまえっと言ってます…そっちもぼちぼち頑張ります。
いつも以上にだめ人間的反省文ですねぇ。
さてはて、今回は ちゃんの葛藤。
散々手塚に葛藤させたので、今回は彼女に葛藤させてみよう、と思ったのですが、色々笹間の感情が混ざってしまい、ノリ悪し?
ちゃん視点がいつの間にか手塚視点に移行してしまってるし。
好きな人の一番近くにいたいと思うのは手塚だけじゃない、というのを書きたかったのですが…。
長々と何を書きたかったのかはっきりしませんねぇ・泣。
結局、手塚が彼女に甘えるパターン。
時間が空いたときぜひぜひリベンジッ!!です。
読んでいただきありがとうございました。
感想などいただけましたら管理人は天にも昇る気分です。










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