「でさ、手塚どうなの?」
興味津々と言う風に菊丸が手塚を覗き込んできた。
「え、英二っ」
それを慌てて止める大石。
「何だよ、いいじゃん。大石、気になんないの?」
自分の問いを邪魔された事で菊丸はずずいっと大石に詰め寄る。
「それは…」
言葉に詰まる大石。
やはり彼は嘘はつけないらしい。
現在は、理性と好奇心が葛藤しているようで1人何やらブツブツいって頭を抱えている。
「気になるんでしょ?だったらいいじゃん。ねぇねぇ手塚、どうなのさぁ?」
理性より好奇心の勝る菊丸は、気を取り直すと再び手塚に疑問符をぶつけた。
部活終了後の部室。
「何だどうなんだ?」
菊丸と桃城が何やら騒いでいる事には気付いていたが、さほど興味もわかず手塚は流していたので、何を訊かれているのか分からず聞き返した。
「またまたぁ〜手塚ってば」
ポンっと手塚の肩を叩く菊丸。
そんな菊丸の行動に眉をひそめる手塚。
「どうやら、手塚は本当に聞いていなかった様だぞ」
そう言ったのは乾。
手塚が困ったように眉を寄せた。
「え〜手塚聞いてなかったのぉっ」
そんな手塚の顔を見て、不満げにぷぅっと頬を膨らませる菊丸。
手塚はそれを見て一瞬と惑ったような顔をしたが、眼鏡の位置を直した時にはいつもの顔に戻っていた。
「だからさぁ…したのかなぁって…」
後半もごもごと言葉を濁らせる菊丸。
手塚は何の事か分からず首を傾げる。
「だからぁ…」
言葉に詰まる菊丸。
「何だ、はっきり言え」
憮然として手塚が言う。
「うぅ〜」
手塚の鋭い目によって追い詰められる菊丸。
「不二っ」
菊丸はポンと不二の肩を叩いた。
「えっ?」
振り返る不二。
そんな不二に菊丸はパンと両手を合わせた。
「…仕方ないなぁ」
そう言って不二は手塚に近づいた。
「お、おい」
戸惑う手塚。
不二は2,3言手塚に囁いた。
「なっ」
見る見るうちに手塚の顔色が変わる。
「で、…なのかなって」
手塚から身体を離す不二。
手塚は不二に鋭い目を向ける。
「そんな目で見ないでよ。僕は代弁しただけで、騒いでたのは英二と桃だから」
にっこりと微笑む不二。
「ちょっ!?」
「ふ、不二先輩!?」
抗議の声をあげる2人。
「お前ら…」
手塚はこれ以上ない低い声を出し、菊丸と桃城の方へと視線を向けた。
「あっ…」
「手塚、ほんの冗談だって…」
後ずさる2人。
青学男子テニス部の部室に声にならない悲鳴が響き渡った。
「全くあいつら…」
湯船につかり手塚は1人今日の事を思い出し腹立たしげに履き捨てた。
不二の言葉を頭の中で反芻する。
はっとして手塚は浴槽から出て頭から冷たいシャワーをかけた。
フゥっと一息もらすと、手塚は冷たい身体のまま浴室を後にした。
薄暗い光の中でその身体は白く浮き上がって見える。
「あぁっ…」
押さえ切れなかった声が、その赤い唇から零れ落ちた。
救いを求めるように伸ばされた指がシーツを力一杯握りしめる。
しなやかに反らされた背。
薄っすらとした光の中に、肩甲骨の影が、背骨の撓みが、ひどく艶かしく浮かび上がる。
は唇を噛み締め、必死に声を抑えようとしていた。
「声を…聞かせてくれ」
手塚が耳元で低く囁くと、 の小さく震えた。
欲情に濡れ、いつも以上に艶っぽい手塚の声は微かな囁きさえも刺激となって を追い詰める。
手塚はそんな の様子を目を細めて鑑賞し、程よく緊張した背骨の中ほどを軽く指先でなぞった。
「あっ……」
「…その声だ」
噛み締めた唇の間から漏れた声を愉しんで、手塚は唇を の背中に落とした。
「やめっ…手塚ぁ…やぁっ…」
反射的に発せられた言葉。
震える の肌を味わいつつ、手塚はゆっくりと唇を滑らす。
背骨に添って舌を這わせ、時に軽く肌を吸い上げ紅い痕を散らした。
「いいのか…本当に止めて?」
辿り着いた耳朶を甘噛みし、熱い吐息と共に囁いた。
その刺激に堪らず の背が反り返る。
手塚の右手は首筋から胸のラインを辿り、しなやかに付いた筋肉の流れに沿って撫で上げ、左手は腿の内側から腰骨にかけてを焦らすように往復する。
「はぁ…ん」
微妙な刺激に、たまらず の唇から高い声が漏れた。
内側から撫で上げた左手は腿の付け根を円を画くように何度か往復すると、待ちわびる部分には触れずに、腰骨の微妙なラインを彷徨う。
「手、塚っ…!」
じれったい感覚に、とうとう は叫んだ。
手塚はそんないとおしい者の姿を見て優しく微笑んだ。
「…」
チチチッと小鳥が囀る声がする。
「…」
見慣れた自分の部屋。
ベットで状態を起こした体勢で、右手で軽く頭を抑え、手塚は大きくため息をついた。
そのため息が今の手塚の気持ちの全てを表している。
手塚は確認するようにちらっと視線を下に向ける。
「…」
横に置いてあった眼鏡をかけ、もう一度視線を下に向ける。
「…」
手塚はもう一度大きくため息をついた。
ベットから立ち上がり、無言のまま手塚は部屋を出て階段を下りて行った。
「…塚、手塚、手塚ってば」
手塚がハッとすると、目の前には 。
あまりの近距離にガタッと後づさる手塚。
「ど、どうしたんだ?」
手塚の行動に戸惑う 。
「いや、大したことじゃないんだけど…どうした?何か、あった?」
心配そうに手塚の顔を覗き込む 。
「…」
手塚はその場で固まっている。
「手塚?」
が手塚に手を伸ばした。
手塚の脳裏に夢の光景が甦る。
「いやっ…何でもない」
手塚は に背を向けるとすたすたと早足でその場を去ってしまった。
「…どうしたんだよ、一体」
は、意味も分からずただ呆然と手塚の後ろ姿を見送った。
そんな様子を反対側のコートで遠目に眺めている2つの影。
「面白いことになってるみたいだね」
ぼそっと呟かれた言葉。
「あぁ、予想以上にな」
そう言ってノートには何やら書き込まれる。
「でも、ここまで素直に反応してくれるとはね…」
クスッと笑みをこぼれた。
「あぁ、 さんには悪いが、くせになりそうだ」
こちらも口元に笑みを浮かべている。
「本当に悪いと思ってる?」
そんな問いかけに苦笑を返す。
「でも、これであの2人も次の段階に進めるんじゃない?そろそろ進まないと手塚も限界だろうし」
「恋愛に関しては切羽詰らないと動かないからな、手塚は」
そう言って2人は手塚に視線を向けた。
そんな会話を不二と乾が交わしていたとは、もちろん手塚は知らない。
手塚国光。
彼はまだまだ若い。
(Fin.)
反省文。
知らぬは本人達ばかり8いかがだったでしょうか?
リク内容はちょっと裏気味な手塚夢でしたが…裏っぽいですか?
どうでしょう?
裏と言うより下ネタっぽいですね。
すみません。
結局こうなってしまうんですねぇ…。
夢オチ…。
裏…裏とは一体どのようにすればかけるものなのでしょう…。
これは研究が必要なようです。
精進ですね、裏。
さてはて、不二は一体どんな事を手塚に吹き込んだのでしょうか…。
読んでいただきありがとうございました。
感想なぞいただけると嬉しいです。
2003.9.10
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