苦しい。

苦しい。

苦しい。



いつまでもこのままが続くことなんてないって分かってた。

分かってたはずなのに…。



時間よ止まれ。

時間よ止まれ。

時間よ…。



時間を止めるなんて無理。

ずっとこのままでなんていられない。

そんな事分かってるけど、



どうして?


とか、



何で?


とか、



次々と浮かぶ、

疑問符。



彼にとって私は何?



カレにとってワタシはナニ?



カレニトッテワタシハ…?



ワタシニトッテカレハ、



ナニ?















手塚が階段を上がり、屋上に続く扉を開ける。

扉を開けるとそこには自分を呼び出した人物。



「こんな所に呼び出すなんて、何の用だ、不二」

フェンスによりかさって不二が立っていた。



「何の用だ?じゃないでしょ、手塚」

扉の影から菊丸が姿を現す。



「お前もいたのか」

そう呟くように言う手塚。



「回りくどい事言っても始まらないからね、率直に用件を言うよ。…手塚はさんの事どうするつもりなの?」

真剣な表情で手塚を見つめて不二が言う。

その顔にはいつもの笑顔は無い。



「…何をだ?」

「何をじゃないよ、ちゃん知ってるんだよ、手塚がドイツ行くってっ!」

菊丸の言葉を聞いて手塚の目が大きく見開かれる。

が、次の瞬間、静かにその目は閉じられていた。



「そうか」



手塚の物言いに、菊丸にくってかかる。

「そうか、じゃないよ、どうすんのさ、ちゃんの事」

「ちょ、英二、落ち着いて」

慌てて不二が止めに入る。

「だって、不二」

泣き出しそうな顔で不二を見る菊丸。

そんな2人を見て手塚は小さくため息をつくと、口を開いた。



「待たせる」



「「えっ?」」



その手塚の発言に固まる2人。



「待たせる」



もう一度、キッパリと手塚が言った。



「…その事、さんに言ったの?」

恐る恐る手塚に尋ねる不二。



「そんな事は知らん。俺がただ…待たせたいだけなんだ」

手塚がそう言い終わるかどうかのとき、





ガチャン。





手塚の後ろで扉の開く音がした。



「あっ」

「来た来た」

そこには、困ったような顔でかろうじて笑顔を作っているが立っていた。



「それじゃ、行こうか」

「ちゃんと話し合うんだぞぉ」

そう言って不二と菊丸は屋上から出て行った。 





沈黙。





「あの2人に呼び出されて、さ」

「そうか」



再び沈黙。      



「俺も、あの2人に呼び出されてな」     

「…そう」      





再び重〜い沈黙。   





その沈黙を壊すようには大きく息を吸い込んで、屋上の柵の向こうを見つめたまま口を開いた。



「手塚、私に待ってて欲しいんだ」

「…」

「勝手だよ、そんなの1人で決めて。勝手過ぎ」

「…」

「自分中心に世界が回ってとでも思ってんの?」



言葉を発しない手塚には胸倉を掴むようにしてしがみついた。



「勝手だよ、手塚」



「…



の突然の行動に手塚は動揺を表す。



「そんな事…してあげないから」



絞り出すような声では言う。



「…ちゃんと捕まえててよ…行かないでよ…離れたくないよぉ…」

の言葉に顔をゆがめる手塚。



「…もう…決めた事だ」



手塚のその応えにの手にぎゅっと力が入る。



「…」

は無言のまま頭を手塚の胸に押し付けた。



「…頼むから、もう泣くな」

「…泣いてなんかないもん」

は頭を押し付けたままそう言った。



「…すまん」



そんなの背中に手塚は腕を廻し、より近くに引き寄せ、耳元で囁いた。

その言葉には目を見開き、そして顔を歪ませるが、俯いたままであるため手塚からは見えない。

ただ、腕の中で首を左右に振っているの姿を見つめていた。



しばらくしてが顔を上げた。

その顔には笑顔が戻っている。



「馬鹿だね」

そう言って手塚の腕からすり抜ける。



「手塚の事だから色々考えちゃったんだろ?」

くすくすと笑う

先ほどの様子とは打って変わったの態度に手塚はどこか困った表情を見せる。

それを見てますます面白そうに笑う



「もう、行こうっか」

そう言ってはドアノブに手をかける。

「…気合入れていってきなよ、待ってるなんて事はいえないけど、早く帰ってくるなら考えといてもいいから…」

のその言葉を聞いて手塚は再びを腕の中に引き寄せた。















「あれ?元に戻ったか?」


の方を見てボソッと言う乾。



『『恐るべし、乾データ』』



その呟きを聞いて不二と菊丸は冷や汗をたらす。

今後、乾のデータには気をつけようと心に誓って。



あれから、は笑顔で毎日を送っている。

以前のように無理をしている様子はなく、つきものが取れたように自然に笑っている。















手塚は数日後日本を立ってドイツへと向かった。



そして今日も。

"昨日の試合、凄かったんだよ…"

彼女はメールを送る。



遠く離れた彼の元へ。





(Fin.)










反省文

1時間スペシャルでドイツにいる手塚を見て無性に書きたくなってしまいました。       
で、書き上げました。 
一気に書き上げたんで、こう感情のままに突っ走ってる感じがしますね。
いつになくシリアスチックな作品。      
こう言うのは衝動的でないとかけませぬ。   
ネタモトは昔、友人と話した内容です。    
音信不通となってしまっていますが、今彼女はどうしているのでしょう…逢いたいですなぁ。  
もしよろしかったら感想なんぞ、お待ちしております。        










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