天敵(名)ある生物にとって、恐ろしい敵になる生物。





にとっては、テニス部期待の新人であり、出席番号が一緒のクラスメイトである彼が天敵。





「ねぇ、とっととそれ終わらせてよ。俺、早く部活行きたいんだよね」

そうクールに言う越前をは睨み付ける。

日直というのはどうして出席番号で男女ペアで組まされるのだろう。
心の中はうんざりしているが、大人になろうとは口を開いた。



「って、だったら、リョーマ君も考えてよ、今日の反省」

日誌を越前の方に押し付けるが越前はそれを受け取ろうとはしない。

「ヤダ。面倒だし」

「…」

平然とそういう越前に は怒りを覚えつつも再び日誌へと向かった。



無言。



が日誌を各シャーペンの走る音の他はグランドから聞こえる運動部の声が聞こえるだけ。



「ねぇ、なんか話してよ。暇なんだけど」

隣の机で頬杖をつき、の方を見ながら越前がそんな沈黙を破った。

「だったら書くこと考えてよ」

日誌から目を離さずは冷ややかにそう言った。

「ヤダ」

「何で?」

「日誌書いてるの、アンタじゃん」



自分には関係ないというその態度。



「…」



大きくため息をつく



「逃げるよ、幸せ」

「だったら、ため息つかせないでよ」

「アンタが勝手についてるだけじゃん」

はまた大きくため息とついた。

彼と話していると、あげ足を取られ続け、とても疲れる。



「…リョーマ君って、あたしに対してきついよね」

ぽつりとはそう言った。



「そう?そんな気がするだけじゃない?」

の方を見ながら越前は無表情でそう言った。

「気のせいじゃないよ。他の人に対してはそうでもないのにさ、あたしには言う事結構きつい…あっ、でも堀尾君とかにも結構きついか」

自分と同じように越前によくへこまされているクラスメートの顔を思い浮かべ、ふっと笑みを漏らす



「…」

突然越前が静かになる。

それに気づき、が越前の方を見ると何やら不機嫌そうな様子。

先ほどはそうでもなかったのに、何やら機嫌を損ねてしまったらしい。

不機嫌そうに顔を背けていた越前だったが、の視線に気付き、挑戦的な笑みを に向けた。

「俺、あんま周りに興味ないんだけどさ…アンタは、からかうと面白いんだよね」



「はぁ!?」



突然の意地の悪い越前の言葉には眉間にしわを寄せる。

そんなの様子に何やら満足そうな表情を浮かべる越前。



「…アンタってさ、どっちかって言うと、ヤラレキャラだし」



「何それ…ヤラレって言うよりどっちかって言うと突っ込みでしょ、あたし。…ヤラレって天然ボケの人でしょ?あたし天然ボケじゃないし」

周りにいる友達の天然ボケっぷりを思い浮かべてそういう

「アンタ天然ボケだし、ヤラレだよ。本人の自覚ないってタチ悪いよね」

「うわ、なんかむかつく、それ」

ぷぅっとふくれるを見て越前は面白そうにふっと笑みを漏らした。



「気兼ねなく本性見せてるって感じていいんじゃない。弱み見せられるってことは気許してるってことだろ?…アンタのそんなトコ結構気に入ってるし」

「え?」

最後のほうの越前の声が小さくてしっかりと聞き取れず、 は聞き返す。



「何でもない。…とっとと出してきてよ、日誌。俺、部活行くから。じゃ、あとよろしく」

越前は、さっと自分の鞄を持つとあっという間に教室を出て行った。



廊下を全速力で駆け抜けて昇降口に来てようやく足を止める。

普段は、廊下を駆け抜けるなどしないのに、いつもとは違う自分の行動に越前は苦笑する。



「まだまだだね、俺も」



そう言って下駄箱から靴を取り出す。

そして、ふと思い出したように小さく呟いた。



「…とりあえず、今度の日曜カチローの親父さんにコート借りた時、堀尾に打ち合いの相手してもらおっかな」

不敵な笑みを浮かべる。

「ま、まだまだだろうけどね」



そして今度はゆっくりと部室の方へ歩き出した。















何がなんだかわからず、は越前の出て行った教室のドアを呆然と見てていたが、手元にある日誌を見て今自分がどの状況に置かれていたのかを思い出す。



「って逃げられた?」

最後の仕事を押し付けられたことに怒りを感じつつ、は再び日誌に向かう。



「…でした。っと。えーと…」

先ほど書いたのを読み返し、今日の反省の続きを考える。



「あぁ、もう、何で日誌の文は行全部埋めろとか言うんだろう、うちの担任は…面倒くさいなぁ…大体いつもリョーマ君が悪いんだよね、一番面倒くさい仕事押し付けて自分はとっとと部活行っちゃってさ。何か、あたしに恨みでもあるのかって言うのよ」



リョーマの顔を思い浮かべ怒りを感じるであったが、ふと先ほどの越前との会話が頭をよぎった。



"アンタのそんなトコ結構気に入ってるし"



しっかりと聞き取れながったが、あの時、越前はそう言っていた。



「…」



思考一旦停止。



「あれって空耳じゃないよね」

その言葉をもう一度頭の中で反芻する。

そして、ある1つの答えにたどり着きそうになって、はブンブンと左右に大きく頭を振ってその考えを振り払った。

頬が熱い気がするのはきっと気のせいじゃない。



でも。



「別に意味はないよね。ただ、からかってて面白いってだけで。そうそう、って何考えてるんだ、あたしは?…やっぱ、イヤなヤツ」

口ではそう悪態をつく。



「いいや、もうこれで」

まだ反省のところが数行空いていたが、はそういってパタンと日誌を閉じた。

「終わり終わり」

そう言って立ち上がると日誌と鞄を持って教室を出て行った。















次の日。





「で、何で俺までまた日直しなきゃいけないの。日誌書いたのアンタじゃん。俺あとよろしくって行ったよね」

「って、仕事勝手に押し付けて帰ったのリョーマ君でしょ」

「帰ったんじゃなくて部活に行ったんだけど」

「同じ事でしょ。日誌あたしに押し付けたんだから。今日は日誌リョーマ君が書いてよね」

「ヤダ。面倒だし。アンタ、やってよ」

「…ってまた押し付ける気!?」



日直のやり直しを言い渡された2人。





(Fin.)















反省文

越前夢いかがだったでしょうか?
彼の口調は難しいです。
私が書くと生意気というより俺様って感じになってしまいます。
まだまだだね、という幻聴が…精進精進っすね。
日誌の文を全部埋めるように…コレは私の昔の担任がやってました…実話です。
自分やり直しさせられました。
実話つながりで(?)越前の某台詞…少し変えてますが…コレは私が友人に言われたモノです。
彼女もまさかネタにされるとは思っていないでしょう。
一見貶されている様ですが、何となく愛を感じたので使ってみました。
でも言った本人にばれたら思いっきり苦笑されるだろうな、自分…。
今後も精進精進いたしますのでよろしくお願いいたします。
では、また。
2003.8.某日










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