、頼む」

「はいは〜い」

は手塚から渡された数枚の紙に目を通す。

最後の1枚に目を落とし、その手を止めて顔を上げ、手塚を見上げる。



「ねぇ手塚、コレ間違ってないよね?」

「俺が見た限り特に不備はないと思ったが?」

疑問符を疑問符で返され、は再び手元の紙に視線を落とす。

もう一度ソレを確認する。



「…じゃ、本当にこのまま表作成しちゃっていいんだね?」

「あぁ。問題ない」

念押しするに表情を買えずに手塚は頷いた。



「問題ない、ねぇ。…まぁ手塚がそういうんならいけどさ」

は小さく肩を竦めた。



「…では、俺は練習に戻る。後は任せたぞ」

「了解」

手塚は部室を出てコートに向かった。

もう一度紙に書かれた名前に視線を落とした。



ランキング戦Dブロック越前リョーマ。



は机の上に模造紙を広げる。

四隅に近くにあった筆箱やらマジックの箱やらを重石にし、模造紙が丸まるのを防ぎ、慣れた手つきでものさしと黒のマジックで表を作る。

油性ペン特有の匂いが部内に広がる。

コートから聞こえる聞きなれた掛け声とボールの音。

きゅっきゅっというマジックが紙をすべる音。



「海堂と乾かぁ…手塚も甘いんだか、厳しいんだかわかんない奴だねぇ…」

小さく呟き苦笑を漏らす



問題の最後の一枚。

表に名前を記入する。

最後にその名前を書き終えて、ふっとは笑みをこぼした。



「部長の期待裏切らないように頑張りなよ、ルーキー君」

その名前の書かれた枠をキャップをしたマジックでぽんぽんと叩き、は模造紙とマジックを片付ける。



窓を開けるとふわっと、心地よい風が部室に入ってきた。

は両手を上に上げ、ん〜…と大きく伸びをする。

両手を重力に任せて落とすと同時に、ふっと短く息を吐き出した。



「明日、みんなどんな顔するかな〜」

驚く面々と、彼に優しく微笑む大石と、周りのことなど気にすることなくいつもどおり眉間にしわを寄せている手塚と…。

そんな光景が容易に想像できて、は笑みをこぼす。



「楽しみ、楽しみ」

部室の空気が入れ替わったのを確認し、は窓を閉めた。

足取り軽く、コートへと向かった。





(Fin.)










2004.02.25.










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