「ア〜ス〜マ〜今日飲み行くよね〜」
そう猫なで声で話しかけてきたカカシへの抵抗むなしくアスマはカカシと2人居酒屋にいた。
「じゃ、結局何にもなかったんだ」
先ほどまで嬉々としてアスマに酒を勧めていたカカシは、アスマの報告を聞くにつれて表情を変えていった。
今は頬杖をつき、ため息をつきながら横目でアスマを見ている。
「…」
ぐっとのどをならし、アスマは黙り込んだ。
カカシはやれやれと肩をすくめて言葉を続ける。
「それどころか何も言えなかったんだ」
「…」
「せっかく俺がお膳立てしてあげたのに」
「うるせぇ。大体頼んでねぇだろうが。…と、注文頼む」
カカシに大きくため息をつかれ、アスマは不機嫌そうにグラスに残っていた酒を飲み干し、近くの店員に新たに注文を入れた。
「だってアスマなかなか動かないんだもん。見ててこう…ヤキモキするって言うの?」
いい加減見ているのも飽きた、と言ってカカシも店員に空のグラスをわたし、次を頼む。
店員は注文を繰り返し軽くおじぎをすると裏へと消えた。
「…俺がどうしようがお前には関係ないだろうが。お前がヤキモキすることなんざないんだよ」
酒がなくなり手持ち無沙汰になったアスマはつまみをつつき始めた。
「本当、アスマってさぁ…」
カカシは最後まで言わずにそこで言葉を切り、大きく、これみよがしに、ため息をついた。
「…」
アスマは視線をつまみへと向けて案山子のほうを向かない。
カカシはそんなアスマの態度など気に刷ることなく言葉を続ける。
「今日長期任務に出てたのが2人、新しく石碑に刻まれたって。仲間が巻物と一緒に持ち帰って最後は病院でだったらしいけど」
「へぇ〜…」
アスマは煙草を取り出し火をつける。
カカシは頬杖をつき、空を見ている。
「今年に入って新たに刻まれた名前の数、ついに2桁突入。昔に比べたら少ないけど、任務に出てそうなる奴はいなくなりはしない」
「…そうだな」
ふぅ〜と煙を吐き出すアスマ。
「明日は我が身。俺達また明日〜なんて言ってられる立場じゃないでしょ…未練残っても知らないよ、アスマ」
口調は飄々としたものだったが言葉の端々に真剣さがあった。
アスマはまだ長かった煙草を灰皿に捨て、最後に一息、煙を上に吐き出した。
「俺はまだ逝かねぇよ。逝けるわけねぇじゃねぇか」
「み〜んなそう思ってる。でも生き残るやつらはほんの一握りだ」
「まぁな」
「だからさ、とっととキメなよ。アスマ、いい加減にさ」
「あ〜…そのうちにな」
それからしばらくどちらも言葉を発せず、グラスを傾けていた。
(Fin.)
20040916
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