「ギャーーっ」
飛び散った滴によって自身も赤く染まる。
最後の叫び。
が進むごとに赤い華が咲く。
はただ小太刀を振るう。
その表情は人形のように無機質だった。
「奴は…大蛇丸はどこだ?」
最後の1人に刀を突きつけが問う。
「あ…」
言葉を発することもままならない忍びをは冷たく見下ろしていた。
「知らないなら死ね」
もう1輪薄暗い森の中に鮮やかな赤い華が咲いた。
再びは駆け出した。
先ほど突如現れた大蛇の後を追う。
身体がいやに軽かった。
「何をしとるんだ?お前は」
それは木の上から降りてきた。
の行くてに降り立ち、道を塞ぐ。
白髪の派手ないでたちの男。
「退け。お前も殺すぞ」
全身から禍々しい殺気を発しは言う。
「そう言われてもお前をこのまま行かせるわけにはいかんな」
男の口元に笑みが浮かぶ。
「じゃ、死ね」
男に向かってクナイが乱れ飛んだ。
「…飲まれおって」
小さく舌打ちをすると男は動いた。
は先ほどいた位置から1メートルほど後ろに下がる。
「ほぉ、勘がいいな、相変わらず」
先ほどがいた位置には男がいた。
「だが、まだまだ甘い」
男は再び動いた。
先ほどより早く。
小太刀が地面に落ちる。
は男の腕に捕らえられ動きを封じられる。
「離せっ」
は暴れるが回された腕の力は少しも弱まらない。
「離せっ。殺す。殺してやるっ。大蛇丸ーっ!!」
叫び暴れるを男はじっと見下ろした。
髪は乱れ、険しい目で大蛇の方を睨み叫ぶ。
周囲のことなど見えていないだろう。
ただ大蛇のみをその瞳に写している。
夜叉とはこのようなものだろうか、と男は思った。
夜叉と見紛うほど、今のは鬼気迫るものがあった。
「お前を鬼道に落とすわけにはいかん。今回はここまでだ」
男はの首を打ち意識を飛ばした。
がくり、と崩れるの身体を支え、近くの大木に寄りかからせた。
首筋にそっと手を当てる。
「全くお前は昔から手がかかる。とんでもないじゃじゃ馬だのぉ」
の呼吸が整ったのを確認し、男はそっとの頭を撫でた。
「しばらく、ここで寝とれ」
男はからはなれ、印を結んだ。
暖かい空気がを包み込む。
「これでいいだろう。片付け終わるまで大人しくしるんだぞ」
を見下ろし男は口元に笑みを浮かべた。
が、口元はすぐに引き締められた。
「さてと」
男は顔をあげ大蛇の方を見る。
「まずはあれを片付けねばならんか。…もうちぃっと踏ん張っとれよ、じじぃ」
男は里の方向へと駆け出した。
(Fin.)
20040624
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