「なっ!?」

突然呼び出され、渡された指令所を見て、は大きく見開いた。



「…納得できん、という顔だな」

苦笑する火影。

の眉間には深くしわが刻まれる。



「お言葉ですが、火影様」

書類から顔を上げ、火影の方を見る



「現在は中忍試験中であり他国の忍びもこの里に入っています。それに大蛇丸が里に入ったという報告もあります。今、里は非常に危険な状態です。そのような時に…」

「分かっておる。だが、かといって依頼を断るわけにもいかんだろう」

「しかし火影様ッ」

特別上忍ッ」



強く名を呼ばれ、は口を噤んだ。

火影はやれやれ、というようにため息をつく。



「任につくのか?つかんのか?」

「…ご命令とあればきちんとその任を果たしますよ」

むすっとしたまま言葉だけは殊勝なことを言う

火影は先ほどより大きくため息をつく。



「里を思ってくれるのは嬉しい。里や仲間を守りたいという言葉をわしは嬉しく思う。時期が時期だ。中忍試験のことも大蛇丸のことも気になるだろうが、任につけるものが他におらん。お前も勘を取り戻したようだし、この任、受けてくれるな?

「…御衣」

火影の言葉には頭を下げた。

が、その唇はかすかに震えるほど、きつくかみ締められていた。















眉間にしわを寄せ、足取り荒くその人物は廊下を歩いていた。

不機嫌極まりない、と主張する黒いオーラを身体から発しながら。

廊下にいた他の忍びがそれを見てやや青ざめ道をあける。



あぁもうっ、むしゃくしゃするッ。

こんな時は…。





バンッ。





ノックもせず、声もかけずに荒々しくドアを開ける。

中にいたのは2人。



「おぉ、どうした?」

1人は額に汗を浮かべ腕立てをしていたガイ。



「こりゃまた不機嫌だねぇ」

1人は怪しげな本を片手にくつろいでいたカカシ。

は2人に鋭い視線のままニタリと口元にだけ笑みを浮かべて言う。



「ちょうどいいところに。2人ともちょっと付き合え。付き合ってくれたら、今度のみに行くとき酌くらいしてやるから」

から発せられている黒いオーラに2人は顔を見合わせ、小さく肩をすくませた。



「どうしたの?ついに紅をアスマにとってかれた?」

本を閉じながらカカシが尋ねる。





カカカカッ。





高い音。



カカシの横にクナイが突き刺さっている。



「俺はその手の冗談は嫌いだっていつも言ってるよな?付き合うのか?付き合わないのか?どっちだ?」

殺気に近い雰囲気をかもし出し、次は外してやらねぇぞと怒鳴らんばかりの



「…」



「…カカシ、お前は一言多い」

八つ当たりなのか、ガイの横にもクナイが刺さっていた。



「はぁ…仕方ないねぇ」

「何に付き合えばいいんだ?」

2人の返事には満足げに笑みを浮かべた。



「ん〜ちょこちょこっと俺の運動に付き合ってくれよ、な、上忍様達」

立ち上がった2人の背を押すようにしてはその場を足早に立ち去った。















「はぁ〜」

ぜいぜいと肩で息をしながら、はばたっとその場に横になった。

はぁ〜っと大きく息を吐き出す。

雑念を振り飛ばすようにがむしゃらにガイに向かい、軽くいなされた。



軽い疲労感。

身体はあちこち痛かったりするが、先ほどとは違い気持ちはすっきりしている。



そよそよと頬を撫でる風が流れる汗を冷やして気持ちいい。

ゆっくりと雲を眺める。



「おい、大丈夫か?」

爽やかで熱い笑みを浮かべガイが尋ねる。



「あぁ」

顔だけガイの方に向け、寝転んだまま返事をする。



「やっぱひたすら体術のみってのはきついわ…」

そう言うの顔には満足げな笑みが浮かんでいる。



「はっはっはっ。だが、ならまだまだ伸びるぞ」

びしっと親指を立てるガイに苦笑を返しは再び空を見た。

眩しさを感じ右手の甲を額に当て日を遮る。



「…平和、だなぁ〜」

独り言のように呟く。



「ほい」

「うわっ」



腕に冷たい感触を感じ、はがばっと起き上がった。

飲み物を片手にカカシが笑っていた。

いつの間にかって来たのかその手には3本の飲み物が握られている。



「ごめんごめん、驚いた?」

そう言いつつも悪びれる様子はない。



「買ってきてくれたの?サンキュ」

上体を起こしは笑顔でカカシからそれを受け取った。



「お〜い、ガイ」

にわたすと、カカシはそれを1本ガイの方へ放った。



「おぉ。すまん。気が利くな、カカシ」

「ガイのはついでだからね」

カカシは笑い、自分の分のドリンクをあけ、口をつけた。

ガイは一瞬憮然とした顔をしたが、口元に笑みをこぼし、ドリンクに口をつけた。



「…なぁ」

飲み物から一旦口を離し、は口を開いた。

くるっと体勢を変え2人の方を向き直る。



「里を頼むぞ」



「何を言い出すんだ?突然」

「任務が入った。2、3日里を留守にする。里はこんな状況だからな。いつ何が起こるかわからねぇだろ?だから俺の守りたいもの、守ってほしい。俺がいない間」

カカシとガイは顔を見合わせる。



「任務でちょっと里を離れるなんていつものことだけどさ、今回はなんか、こう、もやもやっと嫌な予感がするんだよ。だから…。お前ら強いしな」

とここでは一旦言葉を切り、顔をしかめる。



「…こんなこと他のやつに頼むのはどうも…アスマとかゲンマとか確かにお前らより必死になって守るだろうけど…あっ別にあいつらが嫌いってわけじゃねぇんだぞ。だけど、何となく、な。鳶に油揚げを差し出しているような気がして…」

どこか拗ねたようなの言葉に2人は噴出した。



「分かったわかった」

「俺たちなら安全って?ちゃんもちゃんと人見てるんだねぇ」

「茶化すなよ。俺にとっては大問題なのに」

ぷぅっと頬を膨らませ2人に背を向ける



「…だから、お前らに頼んどく。…みんなを、里を頼む」

背を向け小さく呟かれた言葉を聞いてカカシとガイはやさしく笑った。















(Fin.)





20040519










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