パタン。
部屋を出た3人はそれぞれ身体を壁に預ける。
「のあの態度、どう見る?」
先ほどとはうって変わって真剣な顔でガイが他の2人に尋ねる。
「 “色”、だな。…まぁ長期だったしな」
煙草に火をつけ上方に煙を吐き出すアスマ。
「…珍しいことじゃねぇだろ、別に」
自分に言い聞かせるようにアスマは言葉を続ける。
「ん〜、そういうことがあったのは間違いないんじゃない…あの呪印は、さ」
口調は軽いが、顔をしかめカカシが言う。
他の2人はカカシへと視線を向けた。
「あの呪印は内側から刻むものだ」
3人とも同じように顔をしかめた。
「それは、つまり…」
「少なくともあの呪印をつけた奴はあれをつけるためにの内側に“力”を注ぐようなことをしたってこと」
「…しかし、アイツはまだ15だぞ」
「もう15だ。16になれば色の任務も入る。たいした違いじゃないだろう」
「12だよ」
2人の言葉をさえぎる形でカカシが口を開く。
「が任務に出たのは12歳デショ?」
「…」
「…」
「それに年齢は関係ないんじゃない。敵か味方か、でしょ?大切なのは。…俺らだって相手が子どもだからって手を抜いたりしないじゃない。仕事なら殺るでしょ?」
「…」
「…」
「…それに、だって忍びだ。任務にでる前にそういう覚悟はしてたと思うよ、頭ではね」
カカシの言葉にガイは大きくため息をつき、アスマは居心地悪げにガシガシと頭をかいた。
「傷が癒えるまで少しずつ“俺ら”慣れていってもらうしかないんだろうけどそうも言ってられないだろうね。何とか早く慣れてもらわないと」
「どうする?」
ガイが尋ねる。
「それが分かれば、苦労しないさ」
そう言い小さく肩をすくめるカカシを見てガイは苦笑を漏らした。
「…頭」
なにやら思案顔だったアスマがポツリ、と呟く。
「頭?」
「何?頭がどうかしたのか?アスマ」
2人の視線に我に返りアスマは煙草を上下に揺らし、視線をそらしながら、ぽつり、ぽつりと言葉をつむぐ。
「あ、いや、昔な、紅と2人で呑みに行ったことでにバレて殺されそうになったことがあってな」
「アスマ惚気?」
「青春だな」
「ち、違う。だいたい何で俺が紅と飲みに行ったことを話したくらいで惚気になるんだっ!!だいたいあいつと俺は何でもねぇんだぞ」
煙草のフィルター部分をかみ締め、慌てて否定するアスマ。
その頬がわずかに赤いのは2人の言い方に対する怒りのせい…だけではないだろう。
「…いい加減認めちゃえば?ってかとっととキメれば?」
「照れるな、照れるな、それが青春だぞ」
キラン、と歯を光らせるガイ。
アスマは諦めたように肩を落とした。
「あ〜…だから、な。とにかくっ、そんなときにな、イビキの奴から『の機嫌を損ねたときは頭を撫でてやれ。借りてきた猫のように大人しくなるぞ。アイツは頭を撫でられるのが好きだならな』って言われたんだ。で、の頭を撫でて命拾いしたのを思い出したんだよ」
ガシガシと頭をかくアスマ。
「へぇ〜、イビキが?」
「そういや、あいつら仲良かったな」
ポン、と手を打つガイ。
「本当なの?それって」
「あ、あぁ。おかげで俺は死なずにすんだしな。何でも育ててくれた父親代わりの男がよくそうしてくれていたんだと。だから、にとって“頭を撫でられる”ってことは安心すること、で、安心を与えてくれる奴はいいやつ、ってすりこまれてるらしい」
「…つまり、比較的抵抗が少ないだろうから、頭を撫でるところからスキンシップを測ってみようということか」
顎に手を当てて言うガイ。
「あぁ。触れられることが平気になれば回復は早いだろう?」
短くなってしまった煙草を消すアスマ。
「ダメもと、でやってみようか?今なら紅も傍にいるし。1対1とかじゃ無理だろうけど傍に紅とかいればパニック起こしても回復早いでしょ」
壁に寄りかかっていた身体を起こすカカシ。
「あぁ」
「そうだな」
2人もカカシと同様に身体を壁から離す。
「で、どうする?誰がやるの?」
一瞬流れた穏やかな空気がピシッと固まる。
「下手したらクナイとか飛んできて殺されかねないよ。ってか試しに、でにパニック起こさせたのがバレたら、紅やアンコが怖いよね」
「…」
「…」
「まぁ、あの2人のことだから、それが分かってて俺らに何とかしろって損な役回りを押し付けようとしてるのかもしれないけどさ。で、どうする?」
3人はにらみ合ったまま固まった。
「…ジャンケンでもするか」
「…ジャンケン、か」
「…まぁ平和的といえば平和的だな」
上忍3人は廊下の片隅に丸くなりガイの熱い掛け声と共に中央に向け手を突き出した。
(Fin.)
20040516
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