「ー」
人生色々のドアが勢いよく開き、次の瞬間は顔面から机にたたき付けられた。
「聞いたわよ〜」
の頭はつっぷしたままぐりぐりと机にめりこまされた。
ふるふると微かに震えだすの身体。
「いや〜子ども子どもと思っていたけれどちゃんと育っているのねぇ〜」
の頭上では楽しげな声。
「痛いだろっ。馬鹿アンコ」
頭上に添えられた手をふるい落としガバッと顔をあげる。
アンコはそんなを気にする事なく、にやりと笑みを浮かべた。
「聞いたわよ」
「何を!?」
「こ・く・は・く、されたんだって?中忍の子に」
楽しげなアンコとは反対には顔を苦虫を噛んだように歪めた。
「アンタモテるわよねぇ〜、女に」
あの子達絶対アンタの事男だと思ってるわよ〜とアンコはカンラカンラと豪快に笑う。
「アンコだって男より女受けの方がいいじゃんか」
「なっ。た、確かに男の部下より女の子達に好かれてるって自覚はあるケド…で、でも私は愛の告白なんて受けないわよ」
「くぅっ」
悔しげににらみつけてくるをちらっと見た後アンコはがしっとの肩を引き寄せた。
「そんな事よりどうなのよ?」
「…どうって何が?」
不機嫌そうに聞き返してくる。
「誰なのよ?アンタの好きなヤツって」
ぴたっと空気が止まる。
今までそれぞれ雑談なりしとていた連中もこちらを伺っているのが肌で分かった。
「…何言ってんだよ、アンコ」
「私や紅とは違う好きなヤツのこと、よ」
「はぁ!?」
「くのいちの間ですっごい噂よ」
「噂は噂だろ?」
「火のないところに煙はたたないってね。みんな知りたがってるし、アンタの本命。で、誰なの。白状しなって」
「…暇人だなみんな」
アンコの手からすり抜けてすくっと立ち上がる。
アンコを見下ろす形ではにっこりと笑う。
「アンコ、嘘も方便って言葉知ってる?」
人を食ったような物言いにアンコが一瞬惚けたすきには部屋から出ていった。
「アイツにはまだ早過ぎだろ」
「でもアイツっていくつだよ」
「15歳位か?」
「そんなだっけ?」
「だったらいてもおかしくないんじゃない。あの年齢の女の子って恋愛比重重だろ?…普通」
「…アイツ普通か?」
「…女の子だよ、一応」
「…。でもまぁアイツにかぎってなぁ〜」
「だよなぁ〜」
話の成り行きを伺っていた面々が好き勝手に喋りだす。
そんな中、アンコは鋭い目でが出ていったドアを睨みつけていた。
「…私相手にごまかそうだなんて…何がなんでもつきとめてやる」
アンコの呟きは他の耳には届かなかった。
アンコはひょいっと扉から顔を覗かせ部屋の中を見渡した。
が、目的の人物はいない。
「あ〜ゲンマ。見なかった」
見知った顔を見つけ声をかけた。
「そういや、今日は見てねぇな」
咥えた楊枝を上下に揺らしゲンマが答える。
「ったくどこいったのよ、アイツは」
「また追い掛け回してんのか」
憤るアンコにゲンマは呆れたように行った。
あの噂を聞いて以来、アンコは件の人物について口を割らせようと必死なのだ。
「アイツ往生際が悪いのよ」
とっととしゃべっちゃえば楽になるのに、と毒づくアンコ。
「あたしに隠し事なんて」
ゲンマはそれを見て小さく肩をすくめた。
そんなゲンマにアンコは鋭い視線を向ける。
「何?いいたいことがあるならはっきり言ったら」
「…別に」
「アンタのそういうとこムカツク」
アンコの言葉にゲンマはまた小さく肩をすくめた。
観念したように言葉をつむぐ。
「放っておいてやればいいのに、と思ってな」
アンコの眉間にしわがよる。
「お前はお前、アイツはアイツ。別の人間だ。1つや2つ隠しときたいこともあるだろうさ。あるだろ?お前にだって人にいいたくないこと」
「…」
「そんな目で見るなよ。そう考えたってそうできるわけじゃないだろ?頭で理解できても気持ちじゃ納得できないってのも分かるさ」
だから言うのをやめようと思ったんだがな、と続け用事をくいっと上に向ける。
「ただあんま意地になってしつこく追い掛け回すとあっちも意地になって逃げるだろうよ…そんなんで疎遠になっちまっても嫌だろ?」
ん?と子供を諭すような顔をするゲンマにアンコは大げさにため息をついてみせる。
「まさか、あんたに諭されるとは思わなかった」
「…随分棘のある言い方だな」
「日頃の行動の結果でしょ?いっつも他人に興味ないって風で」
「否定はしないさ」
「…どうしてそういうすかした言い方できるわけ?きもい」
「…」
居心地悪そうに視線をあさっての方向に向けるゲンマ。
アンコの口元に笑みが浮かぶ。
ゲンマに背を向け扉に向かって歩き出す。
「ま、今回はアンタの助言を素直に聞いとくわ。ありがと」
部屋を出て行くときそう言ってアンコは部屋から出て行った。
それを見送ったゲンマの口元にも笑みが浮かんでいた。
20040422
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