『ほら』
『あぁ、あの子』
『外部の子をアカデミーにいれるなんて』
『万が一忍びにでもなったら里の情報が外部に漏れることになるのに』
『火影様は何でそんなことを許可したのかしら』
「…もうやだ。早く迎えに来いよぉ〜…」
ひそひそと距離を取って囁かれていた言葉を頭の中で反芻しは体育座りをしたまま腕に顔をうずめた。
「ちょっと退いて邪魔よ」
涙目のままは顔をあげる。
腕いっぱいお団子を抱えた女性が立っていた。
「退いて。邪魔よ」
「ご、ごめんなさい」
慌てて立上がりそこを退く。
「アレ〜?」
女性は背をかがめの顔を覗きこむ。
は女性の行動に戸惑い一歩後ろに引いた。
女性はどこか高飛車な感じで口許にだけ笑みを浮かべた。
にやり、口が半月形を描く。
「アンタでしょ外部からアカデミーに入ったっての」
女性の言葉にはビクッと肩を竦ませ身体をこわ張らせる。
「へぇ〜」
女性は姿勢を元に戻し高飛車な態度のまま楽しげに笑みを浮かべに頭のてっぺんから爪先まで不躾な目線を向けた。
その視線にはますます身体をこわばらせる。
「やっぱりね。見慣れない顔だもん」
女性はそれを見てくすっと笑った。
再び背をかがめの顔を覗き込むようにしての顔から十数センチのところでの顔を正面から見据える。
「来ないわよ、迎えになんて」
「な、にを…」
の声が震える。
「さっきあんた言ってたでしょ?迎えに来いって。でも残念。誰もアンタを迎えに来たりしないわ」
クスクスと女性は笑いながら言う。
先ほどの呟きを聞かれていたらしい。
「あんたはここに置いてかれたの。捨てられたのよ」
「違うっ」
は叫ぶ。
「じゃなんでアンタは今一人でここにいるのよ?」
「そ、れは…」
ぼそぼそと歯切れ悪くが言う。
「あんた一人じゃない。あんたは捨てられたのよ。足手まといだから置いていかれたの」
女性の言葉に俯いてしまったを女性はふふんと鼻で笑った。
だが、は次の瞬間顔を上げ、キッと女性を睨みつけた。
「違うっ!!」
「違わない」
激昂するとは余裕の表情を崩さない女性。
女性のそんな態度がますますの怒りを激しくさせる。
「アイツは絶対迎えに来る。アイツは馬鹿でスケベでどうしようもない奴だけど約束は守るっ。今は足手まといかもしれないけど俺は絶対アイツの役に立てるようになるっ。今はガキだけどアカデミー卒業して忍びになってあいつの役に立てるようになるっ。だから絶対絶対ぜ〜ったいアイツは迎えに来るんだっ」
突然すごい剣幕でまくし立てるを女性はじぃっと見下ろしていたがぽつりと口を開いた。
「…アンタ馬鹿ね」
ふぅっとため息をつき女性は再びに視線を落とした。
「本当、あんた見てるとムカつくわ」
そういう女性の目は先ほどの余裕じみたものではなくどこか悲しげにゆがめられている。
「来ないわよ…迎えになんて」
低い声。
「来るっ!!」
「あ〜もう。…本当ムカつくわ」
ため息交じりの後半の言葉はその語句とは裏腹に寂しげに呟かれた。
「…」
は無言で女性を見上げる。
女性もを見下ろし2人の視線が合った。
「…だったら証明して見せなさいよ」
鋭い視線で女性はを見下ろす。
「え?」
「そいつがアンタを迎えに来るって証明して見せなさいよ。そいつのこと迎えに来るまでずっと待ち続けてみなさいよっ!!」
突然感情を露わにし激昂し始める女性。
「お姉さん…?」
突然女性の纏う雰囲気が変わり戸惑う。
「私は絶対迎えにこないと思うけどね。でもあんたがそこまで言うんならこの私がそれを見届けてやろうじゃない…時間の無駄だと思うけど」
「時間の無駄なんかじゃないっ。絶対…」
「あ〜もう、何度も五月蝿い。分かったわよ」
女性は疲れた、というように大きくため息をついた。
「さっきも言ったでしょ。そこまで言うんだったら待ってなさいよ。ソイツの役に立てるようになって」
「…」
「ソイツが迎えに来たときアンタを置いていかなければよかった。まさかここまでなるとは思わなかった。十分役に立ったのにって見返せるくらい強くなって待ってなさいよ…迎えに来るまでずっと待ってなさいよ」
疲れた表情で投げやりに噤まれる言葉。
「…」
は女性の顔を見上げ静かにそれ聞く。
「証明できるの?できないの?」
「できるっ!!あいつは絶対向かいに来るし、それまでに俺あいつの役に立てるくらい強くなる。」
「…待つのを諦めたらあんたの負けだからね」
「諦めない。絶対」
の言葉に女性は大きく息を吐き出し改めての方を向き直った。
「私はアンコ、みたらしアンコよ。あんたは?」
「。」
「…、これからのアンタの生き方、見せてもらうわよ」
女性は低い声でそういうと、自嘲気味な笑みを浮かべた。
(Fin.)
20040606
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