「…おはよう」

昨日よりは身体が動く。

肩に痛みを感じつつもはゆっくりと上体を起こし、男のほうに視線を向けた。



「おぉ起きたか、わっぱ」

「…ん」

痛む肩とは反対側の手で眠気眼をこする。



「…お腹空いた」

の言葉にガマ仙人は苦笑した。



「ほれ」

ガマ仙人は持っていた果物をの膝へと放る。



「…ありがとう」

はそれを口へと運ぶ。

カリッシャクシャクと心地よい音がした。



「物が食えればもう大丈夫だな」

ガマ仙人はそう言って笑った。

空腹だったこともあってはあっという間に食べ終えた。



「ごちそうさま」

「おぉ」

ガマ仙人はタオル――この場合手ぬぐいという方が正しいかもしれない――をに差し出し、はそれで果物の果汁のついた手を拭いた。



「…おぬし、これからどうする?」

ガマ仙人はと視線を合わせるようにし、昨夜と同じことを尋ねた。



「逃げる」

はガマ仙人を真っ直ぐに見据え答える。

ガマ仙人は顔をしかめた。



「何から?」

「人買い」

この問いにもは間髪なく答えた。

ガマ仙人の眉間にしわが濃くなった。

昨日涙一つ見せなかった理由がこれでわかった。



「口減らしに売られたから家には帰れない。かといってこのまま売られるのも癪に触るから戻りたくない。だから逃げる」

目の前の子どもの口から出る言葉にガマ仙人の顔はますます険しくなっていく。



「逃げてどうする?」

「…」

子どもの口が止まった。

視線を横にそらし、そして俯いた。



「どうする?」

ガマ仙人は再び尋ねた。



「…生きる」



「そうか」

ガマ仙人の声が問い詰めるようなものから優しく変わった。



「ならばワシと来い」

わしわしとガマ仙人はの頭を撫でた。

は訳がわからずガマ仙人の顔を見上げる。



「昨日あったのも何かの縁じゃ。一度手を差し伸べたんじゃから最後まで責任をもたんとのォ。1人で生きれるようになるまで世話をしてやろう」

ガマ仙人が笑う。



は目を見開きぼぉっとガマ仙人の顔を見上げた。

ガマ仙人はひょいっとを担ぎ上げた。

は驚いてじたばたと暴れた。



「暴れるな。まずはその傷を治さなければならんだろうが」

ガマ仙人はの背をぽんぽんと叩いてなだめようとする。





少しきつめにガマ仙人はの名前を呼んだ。

すると、先ほどまでの暴れっぷりが嘘のようにはぴたっと大人しくなった。



「よい子だ」

ガマ仙人はの頭を撫で、歩き出した。



「…おじちゃん、一緒にいてくれるの?」

「そういうことになるだろうな」

「売ったりしない?」

「せぬ」

「ふぅん」

はぽてっとガマ仙人の肩に頭を乗せた。



「…なぁ、、おじちゃんというのは止めんか?」

しばらく歩いてガマ仙人はポツリ、と言った。



「?」

分からず首をかしげる



「…おじちゃんというのは変だろ?」

「なんで?」

「…とにかく、これから一緒にいるんだ。ワシのことは自来也と呼べ」

「ガマ仙人って言うのは名前じゃないの?」

「アレは通り名――あだ名みたいなもんだ。自来也、それがワシの名だ」



「自来也のおじちゃん?」

「おじちゃんはいらんっ」

「…」



「自来也、だ。言ってみぃ?」

「…自来也」



「そうだ。よい子だな、

くしゃっとの頭を撫でる自来也。



「元気に育ちいい女になれよ、

自来也の目が優しく細められた。

はきょとん、と自来也の顔を見ている。



「しばらく退屈はしなさそうだな」

自来也はそれを見て楽しげに微笑んだ。



「おぉ、そうじゃ。いい女になったらずっとワシの傍におらんか?

そう言って悪戯っぽく笑う自来也。

は意味がわからないまま頷いた。










(fin.)















反省文

自来也様好きです。
でも口調よくわかりません。
偽者注意報発令中。
…ヒロイン設定4歳位。
後で辻褄合わせが大変そうですねぇ。
読んでくださりありがとうございました。

20040421










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