「…ん」



図書館での2人だけの勉強会。

彼女が眠そうに目を瞬かせて、目元をこすった。



窓側の席。

暖かい日差しの降り注ぐ午後。

受験生である2人にとっては恒例となりつつある図書館デート。



「大丈夫か?」

大石は小さな声で尋ねる。



「も、ダメ、かも…」

そう言っている間にも彼女の頭はどんどん前に倒れていく。

彼女はそれ以上前に倒れないように両手を組んでつっかえ棒にするように額を当てた。



「おいおい、ダメだって。こんなところで」

少し声が大きくなってしまい、大石は慌てて辺りを見渡した。



幸い、大石と彼女の他には誰もいない…ようだ。

少なくとも見える範囲には他に人影はない。



「ごめん、ちょっとだけ…」

そういったきり、彼女の瞳は閉じられ、小さく一定の呼吸がなされる。



大石は小さく息を吐き出すと、自分は再びノートへと向き直った。

カリカリと大石のノートをシャーペンが走る音の他は彼女の寝息だけ。



暖かで心地よい日差し。

先ほどとった昼食がますます睡魔を誘う。



「…ダメだ」

集中力が続かず、大石は一旦シャーペンから手を離した。

背筋を伸ばすように身体をほぐし、片手で頬杖をついて彼女に視線を向ける。



「…」

彼女の頬に落ちていた1房の髪をそっとかきあげた。

隠れていた彼女の顔が大石の視界に入る。



気持ちよさそうな寝顔。

心なしか微笑んでいるようにも見える。

自然に大石の口元にも笑みが浮かぶ。



「…頑張るのはいいけど無理はするなよ」

彼女に届くはずはないが小さく呟いてみる。



「でも、一緒に頑張って来年も…」

大石はそこまで言って慌てて緩んでしまった口元を引き締めた。



だが、一旦緩まってしまった口元はなかなか元には戻らない。

上方に視線をそらし、頬杖をついていた手で口元を覆うようにして隠した。



「…」

しばらくそうしていつもの表情に戻ったのを確認して小さく息を吐き出してから、彼女に視線を戻した。



「…んだ」

彼女の口元がなにやら動いた。



「どうした?」

彼女の方へ耳を向ける。

ほんの少し、彼女のその小さな言葉に期待しつつ。



「…乾、その材料ヤバ過ぎ。みんな死んじゃうょ…」

固まる大石。



「…マネージャーの鏡だな」

苦笑する大石。

彼女の方へと手を伸ばす。



「おい」

彼女の前の机を軽く指で叩く。



反応はない。



「起きろって」

先ほどよりほんの少し声を大きくして。



「…ん」

彼女の口から声が漏れた。

眠気眼の彼女が顔を上げた。



「ぷっ」

思わず噴出す大石。



「なに〜?」

うっすらと瞳を開けて彼女が尋ねる。



「オデコ、赤くなってるぞ」

大石の言葉に彼女は寝起きとは思えない早さで、ばっと両手で額を隠す。



くすくすと笑う大石。

うらめしそうに大石に視線を向ける彼女。

それを見て大石の肩がますます大きく揺れた。















反省文

WEB拍手ありがとうございます。
今月の誕生日者ということで大石夢もどきを貴女に。
心ばかりではございますが。
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2004.03.30